融資の金額を決める過程を架空の事例でシュミレーションしています。
以下のような流れで決定するとわかりやすくなります。
融資申込者の属性
以下の条件の方が開業すると仮定します。
・33才の男性。
・個人事業主として整骨院を3ヶ月後の4月に開業予定。
・前職は開業する業種と同じ整骨院に勤務していた。
・自己資金は通帳にある200万円。
・個人的な借入れは住宅ローンの返済のみ。
・売上げの入金まで2ヶ月かかる。
融損益計画書を作成
まずは損益計画書を作ります。
損益計画書を作成したところ以下のようになりました。
(スペースの都合で開業当初の4ヶ月のみ記載)
(単位/万円)
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | ||
売上げ | 29 | 31 | 40 | 41 | |
売上原価 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
売上総利益 | 29 | 31 | 40 | 41 | |
販売管理費 | 家賃 | 6 | 6 | 6 | 6 |
広告宣伝費 | 10 | 10 | 10 | 5 | |
旅費交通費 | 1 | 1 | 1 | 1 | |
通信費 | 3 | 3 | 3 | 3 | |
事務用品費 | 3 | 1 | 1 | 1 | |
接待交際費 | 2 | 2 | 2 | 2 | |
賠償保険 | 15 | 0 | 0 | 0 | |
ホームページ | 40 | 0 | 0 | 0 | |
光熱費 | 2 | 2 | 2 | 2 | |
駐車場代 | 2 | 2 | 2 | 2 | |
雑費 | 4 | 4 | 4 | 4 | |
販管費合計 | 88 | 31 | 31 | 26 | |
営業利益 | -59 | 0 | 9 | 15 | |
営業外収入 | |||||
営業外費用 | 支払利息 | 0.7 | 0.7 | 0.7 | 0.7 |
経常利益 | -59.7 | -0.7 | 8.3 | 14.3 |
(注)個人事業主の場合、生活費は費用計上できない。経常利益から生活費を出すようになる。
開業時の支出額を計算
開業前に支払うものも含め、開業にかかる金額を合計します。
すると、以下のような支払いがあることがわかりました。
・店舗物件の契約料 40万円 (不動産屋等の見積書の金額)※開業前に支払い
・内装工事 100万円 (工事業者の見積書の金額)※開業前に支払い
・備品購入 150万円 (カタログなどからの合計額)※開業前に支払い
・諸経費支払い 150万円 (上記損益計画書の3か月分の販管費)
申込み金額を決定
上記で算出した支払額をもとに計算します。
その他、売上げから入金まで2ヶ月かかる事例であるため、2ヶ月分の売上げ(60万円)と、予定外の支出に備えた100万円をプラスして運転資金を多めに確保。
そうすると、下の表の左側「事業に必要な資金」と右側「調達する資金」がバランスする金額が融資の申込み額になります。
この例では400万円を創業融資を利用して調達します。
(単位/万円)
事業に必要な資金 | 調達する資金 | ||
店舗物件契約料 | 40 | 自己資金 | 200 |
内装工事 | 100 | ||
備品購入 | 150 | 融資による調達 | 400 |
諸経費支払い | 150 | ||
入金サイトのずれ(2ヶ月) | 60 | ||
不意の支出に備えた余裕資金 | 100 | ||
合計金額 | 600 | 合計金額 | 600 |
創業融資の申込み先とその条件
具体的に金額が決まったので、以下のような条件で融資を申し込みます。
・融資の申込み先は日本政策金融公庫。
・33才の男性のため金利が基準金利よりも0.4%低くなる「女性・若者/シニア起業家支援資金」を利用できます。
・融資希望額400万円、返済期間7年、当初6ヶ月は利息のみの支払いで7ヵ月目から元本の返済が開始。
・元本は78回払い。毎月の返済額は元利合わせて約5万8千円。
以上のような流れで決めていくと、必要な金額がわかりやすくなります。