創業融資の利率を抑える制度ができています。
日本政策金融公庫の「創業支援貸付利率特例制度」というものです。
令和3年度に創設されましたが、令和4年度はさらに利率を抑えて創業融資を受けることができます。。
今回は、この「創業支援貸付利率特例制度」についてまとめました。
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- この記事では以下の内容に触れています。
- 創業支援貸付特例制度の概要
- 支払金額のシュミレーション
- 融資が実行されるまでの流れ
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少しでもお役に立つ内容であれば幸いです。
創業支援貸付利率特例制度の概要
利率を軽くする「創業支援貸付利率特例制度」は日本政策金融公庫に申し込むと利用できます。
まずはこの特例制度の概要をお伝えいたします。
創業支援貸付利率特例制度の概要
ご利用いただける方
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
融資限度額
各融資制度に定める融資限度額
返済期間
各融資制度に定める返済期間以内
利率(年)
各融資制度に定める利率-0,65%
ただし、雇用の拡大を図る場合は、各融資制度に定める利率-0.9%
以上が特例制度の概要となります。
【解説】
創業者は一律で基準金利から0,65%引かれます。
社員を雇うなどする場合は0,9%低く借りることができます。
ただし、一部の融資制度では適用されないそうですのでご注意ください。
令和3年度は0,3%低い金利で融資を受けられましたが、令和4年度は引き下げ幅が大きくなり0,65%低く借りることができるようになりました。
支払金額のシュミレーション
「創業支援貸付利率特例制度」を使うと利率が0,65%差し引かれます。
この項目では日本政策金融公庫の創業融資制度である「新創業融資制度」で融資を受けた場合、どのくらいの金額になるのか具体的な数字でシュミレーションしてみたいと思います。
まずは、制度の概要です。
新創業融資制度の概要
以下、日本政策金融公庫のホームページの記載を一部編集して概要をお伝えします。
ご利用できる方
次のすべての要件に該当する方
- 対象者の要件
新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方 - 自己資金の要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方
資金の使い道
新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする資金。
融資限度額
3,000万円(うち運転資金1,500万円)
返済期間
各融資制度に定めるご返済期間以内
利率(年利)
基準金利(令和4年4月1日時点) 2.33%~3.00%
担保・保証人
原則不要
【解説】
新創業融資制度は総事業資金の10分の1以上の自己資金があれば申し込むことができます。
ただし、自己資金が10分の1あれば必ず融資されるわけではありません。
あくまでも「申込みができる」というだけです。
審査に通るには自己資金が3分の1あると理想的です。
審査の土俵に上がるのと、実際勝負になるのかは別物ということになります。
具体的な利率のシュミレーション
では、公庫の「新創業融資制度」に「創業支援貸付利率特例制度」をつけて融資を受けたときどうなるのか見ていきたいと思います。
・基準金利 2,33%~3,00% ※2022年4月時点 基準金利は数ヶ月ごとに見直されますのでご注意ください。
・創業支援貸付利率特例制度 -0,65%
ということで計算すると
「2,33%-0,65%=1,68%」
「3,00%-0,65%=2,35%」
になります。
1,68%から2,35%の間で創業融資が受けられるようになります。
600万円の融資を受けた場合
仮に600万円を1,68%で借りたとすると以下のようになります。
600万円×1,68%=100,800円が1年間の利息になります。
これを12ヶ月で割ると、ひと月当たり8,400円が利息の支払いになります。
ただし、この計算はあくまでも概算になります。
実際は元金の返済が進むにつれて、少しずつ利息の支払い金額は減っていきます。
ちなみに、600万円を特例がない2,33%で借りると年間の利息は139,800円となり、
ひと月の利息の支払いは11,650円です。
比較すると、1年間で約39,000円利息を抑えることが可能になります。
元金の返済も含めると
上記の例で元金返済も含めるとどうなるでしょうか。
返済期間7年、84回払いでの概算は以下のようになります。
・元金の返済
600万円÷84=71,428円
・元金と利息(特例あり)を合計した毎月の支払い額
71,428+8,400=79,828円
・元金と利息(基準金利)を合計した毎月の支払い額
71,428+11,650=83,078円
以上のように試算できます。
ひと月当たり3千円ほど安くなります。
※実際は元金の返済が進めば概算よりも利息は減っていきます。
融資が実行されるまでの流れ
今回ご紹介した融資制度を利用するには日本政策金融公庫に融資を申し込む必要があります。
申し込みから融資実行までのおおまかな流れは以下の通りです。
日本政策金融公庫に融資を申し込む
最寄りの日本政策金融公庫の支店に融資を申し込みます。
最寄りというのは「開業する場所」から最も近いところです。
たとえば、自宅が東京都葛飾区で開業場所が千葉県松戸市だった場合。この場合は東京都内の支店ではなく、松戸支店が申込先になります。
このとき、借入れ申込書とともに事業計画書や見積書なども提出しましょう。
担当者から連絡がある
申込み後1週間ほどすると審査を担当する職員から電話で連絡があります。
その際、面談当日の持ちものなどが伝えられます。同時に面談日時も決めるので希望日を伝えて調整しましょう。
後日、書面でも通知されます。
基本的には電話がありますが、電話なしで書面のみで通知されることも過去にありました。
担当の職員と面談
約束した面談の日になると申し込んだ支店で担当者と面談をおこないます。
面談時間は約1時間ほどです。
ケースによっては長くなることもあります。
面談の内容は事業計画書の内容に基づいて、自己資金、経歴、担当者の気になっていること等さまざまなことを質問されます。
質問されたことに淡々と答えていきましょう。
また、事前に通知された持ち物を忘れずに持って行きましょう。
役所で取得しなければいけない書類もあるので、早めに動いておくのがおすすめです。
必要な書類が集まらないと審査が進みませんのでご注意ください。
融資の諾否が決定する
面談後、約1週間で融資の諾否が決定します。
支店の案件の混み具合や、審査が難航した場合などは1週間以上かかることもあります。
決定すると審査担当者から連絡があり、結果が告げられます。
日本政策金融公庫と金銭消費貸借契約をする
OKがでると金銭消費貸借の契約書が郵送されてきます。
必要事項を記入して指定の送付先に送りましょう。
書類にはどのような返済条件なのかも記載されているので確認しておくとよいでしょう。
融資金が入金される
契約書を送付すると、数日で自分が指定した金融機関の口座に入金されます。
ここまで、申し込みから入金まで約1ヵ月です。
ケースによっては長くなることも短くなることもあります。
さいごに
「創業支援貸付利率特例制度」についてお伝えしてきました。
今回は「新創業融資制度」で具体的なシュミレーションをしてみましたが、ほかの創業融資制度でもこの特例は適用されます。
たとえば「女性、若者/シニア起業家支援資金」を利用すれば、女性や35才未満、55才以上の男性は利息負担を軽減できます。
また、創業支援貸付利率特例制度を利用するために特別な手続きなどは必要ありません。
融資が必要な方は今回ご紹介した特例制度があることを頭の片隅においておくとよいでしょう。