新たに実店舗を構えるという挑戦は、多くの中小企業や株式会社にとって大きな挑戦となります。
しかしその一方で、出店に必要な資金調達のハードルは決して低くありません。
とくに創業間もない企業や、これまで店舗を持たずに事業を展開してきた会社にとっては、金融機関の融資を受ける際に収益予測や事業の継続性をどのように示すかが大きな課題になります。
今回は、江東区に拠点を置く貴金属企画・販売業の株式会社が、実店舗出店のために日本政策金融公庫からの融資を受け、見事に資金調達に成功した事例を紹介します。
行政書士として支援に携わった立場から、どのような準備と戦略でこの融資を実現したのか、実例を通じて詳しく解説していきます。
株式会社が日本政策金融公庫から融資を受けるまでの流れ
既存事業から実店舗展開への進出と資金ニーズ
江東区に所在するある株式会社は、これまでOEMでのアクセサリー販売や自社サイトによるオンライン販売を中心に事業を展開していました。
着実に売上を伸ばしてきた同社ですが、自社ブランドの認知拡大や顧客との接点強化を目指し、初の実店舗を出店する計画を立てました。
しかし、店舗を構えるためには物件取得費、内装工事費、初期在庫費用など多くの資金が必要になります。これまで無店舗で運営してきたため、実店舗の売上見込みが未知数であることが融資における懸念材料となりました。
そうした状況の中で、同社は日本政策金融公庫から出店資金の融資を受けることを決断しました。
融資における課題と審査への備え方(行政書士の視点)
融資に際しては、主に以下のような課題が存在していました。
- 売上にスポット的な偏りがあり、継続的な収益があると判断されにくいこと
- 出店後の売上が予測の域を出ないため、返済能力に疑問を持たれる可能性があること
- 企業としての実績がまだ浅く、評価が安定しにくいこと
これらの課題に対し、行政書士としてはまず丁寧なヒアリングを行い、既存事業の実績や2年に一度発生する大きな売上が計画的に見込めることを資料で明確にしました。
また、融資審査を想定して、既存事業・新規店舗・会社全体という3段階に分けた損益計画書を作成し、仮に新店舗の収益が予想より下回った場合でも、会社全体としては黒字が確保できる構成であることを示しました。
これにより、返済可能性の高さをロジカルにアピールすることができ、日本政策金融公庫の信頼を得るに至りました。
事業計画書の重要性と成功のカギ
既存事業と新店舗の損益計画をどう作ったか
日本政策金融公庫の融資審査において、事業計画書の完成度は非常に重要な要素です。
この株式会社では、実店舗出店という新たな挑戦に対し、既存事業の実績と新店舗の見通しをそれぞれ明確に分けて計画書を作成しました。
まず、既存事業については、直近の業績と今後の見込みを基に36か月分の損益計画を作成。
これにより、すでに安定した収益基盤があることを数値で示しました。
次に新店舗についても、立地条件や商品ラインナップ、想定される来店者数などを踏まえた売上予測を行い、同様に36か月分の収益見込みを記載しました。
さらに、この2つを合算した「全社ベースの損益計画書」も用意。
これにより、仮に新店舗が想定より不調だった場合でも、既存事業の利益でカバーできる仕組みを示し、全体としての返済能力があることを明確にアピールしました。
スポット売上の正確な評価が融資を後押し
この株式会社の特徴として、2年に1度の割合で大口のスポット売上が発生するという事業構造があります。しかし、こうした不定期な売上は、金融機関の担当者にとって「偶然」や「一時的な成功」と見なされるリスクも伴います。
そこで、行政書士の立場からは、過去のスポット売上の履歴と、その発生理由・背景を丁寧に整理し、事業の中に組み込まれた「計画的収益」であることを損益計画書上でも明確にしました。
特に、売上が発生する時期や金額がある程度安定していること、発生する根拠となるビジネスモデルの強みを資料に落とし込むことで、まぐれではないと判断される材料を提示しました。
このような取り組みにより、スポット売上を含めた全体収益の信頼性が高まり、融資判断において大きなプラス要素となったのです。
融資成功のポイントとは?
日本政策金融公庫との事前協議の効果
融資申請に先立ち、日本政策金融公庫の担当者との事前協議を行ったことは、今回の成功において大きな意味を持ちました。
単に書類を整えて提出するだけではなく、融資の可能性や懸念されるポイントについて、事前に協議を受けておくことで、書類作成の方向性を明確にすることができたのです。
この株式会社の場合、行政書士が日本政策金融公庫の担当者と直接協議を行い、「スポット売上をどう扱うか」「新店舗の収益予測の妥当性」など、審査に影響を与える可能性のある要素を洗い出しました。
事前協議の段階で「融資の可能性はある」との判断を得られたことにより、以降の準備に自信を持って臨むことができたのです。
また、事前協議を通じて担当者との信頼関係を築いておくことで、申請後の面談や審査も円滑に進みやすくなるという副次的な効果もありました。
面談から6日で融資決定につながった要因分析
申請後の面談からわずか6日で、満額での融資が決定した今回のケース。そのスピードと確実性にはいくつかの理由がありました。
まず、提出した資料の質が高かったこと。
事業計画書や損益計画書、資金繰り表などはすべて整合性が取れており、数字の裏付けが明確でした。これにより、審査側が不明点や追加確認を必要とせず、スムーズに判断を下せたのです。
次に、面談時に行政書士が同席し、補助がしっかりできたことも大きな要因です。融資の審査では「想定外の事態への備え」も重視されるため、仮に店舗の売上が思わしくない場合でも、既存事業やスポット収益で補えることを明確に伝えました。
これらの要素が総合的に評価され、短期間での融資決定という結果につながったといえます。
柏市周辺でも応用できる資金調達のポイント
他の地域でも活かせる事業計画書の作成法
今回紹介した江東区の株式会社の事例は、他のエリアで事業を展開する中小企業や、実店舗を新たに開業しようと考えている事業者にとっても非常に参考になるものです。
とくにアクセサリーや雑貨、小売業など、地域密着型の業種においては、同様のアプローチで資金調達が可能です。
まず重要なのは、事業計画書を「分かりやすく」「現実的に」構成することです。
日本政策金融公庫の担当者は、すべての業種に詳しいとは限りません。そのため、どのような商品を誰に、どこで、どのように販売し、どれくらいの売上が見込めるのかを明確に伝える必要があります。
次に、既存事業の実績をしっかり示すこと。
たとえ小規模であっても、収益が安定している、または成長している傾向があるという事実は大きな説得材料になります。
また、柏市やその周辺で得られた顧客層の傾向、地理的優位性などを加えることで、出店の必然性と成功の可能性を裏付けることができます。
最後に、新店舗の収益予測を「根拠ある数字」で構築することがカギです。
過去の販売データ、立地条件、競合他社の状況などを踏まえて、月次ベースでの売上予測と経費計算を行い、損益計画として提示することで、金融機関に安心感を与えることができます。
これらのポイントを押さえれば、柏市周辺の企業であっても、日本政策金融公庫からの資金調達を現実的な選択肢として検討することが可能です。
まとめと今後出店を目指す企業へのアドバイス(柏市の方へ)
実店舗の出店は、企業にとってブランド強化や顧客接点の拡大を実現する大きなチャンスである一方で、多額の初期投資が必要な挑戦でもあります。とくに柏市のような商業施設が充実し、地域の購買力も高いエリアでは、立地選定や事業計画の精度が資金調達の成否を大きく左右します。
今回の事例から学べる最も重要なポイントは、「具体的で信頼性の高い事業計画書」が融資成功の鍵を握っているということです。
既存事業の強みを活かしつつ、新店舗のリスクを冷静に分析し、万が一に備えた収支構造を数値で示すことが、金融機関に安心感を与える最大の材料となります。
また、融資の申込みに先立って金融機関と事前協議を行い、懸念点や求められる資料を把握しておくことも、審査を円滑に進める上で非常に有効です。
柏市およびその周辺で出店を検討している方は、今回の成功事例を一つのモデルケースとして参考にし、自社の強みと地域特性を活かした計画立案に取り組んでみてください。適切な準備と戦略があれば、融資による資金調達は十分に実現可能です。
行政書士に相談する理由と柏市対応のサポート内容
出店に向けた融資は、単に「申込書を出す」だけで成功するものではありません。
事業の現状や将来の展望を正確に言語化・数値化し、金融機関が納得できる資料として整えることが不可欠です。そうした専門的な作業を一人で行うのは、多くの中小企業経営者にとって大きな負担となるでしょう。
そこで頼りになるのが、行政書士の存在です。
融資に強い行政書士は、企業の状況を丁寧にヒアリングし、実態に即した事業計画書や損益予測を的確に作成するプロフェッショナルです。柏市に対応している行政書士として、以下のような支援を行っています。
- ヒアリングによる課題把握と融資戦略の設定
- 融資審査を見越した事業計画書・資金繰り表・売上予測等の作成支援
- 日本政策金融公庫など金融機関との事前協議や面談のサポート
柏市での出店を考えている方や、資金調達に不安を感じている企業様は、ぜひ一度ご相談ください。初回相談では、無料で承っております。
▼お問い合わせ先
かきざき行政書士事務所
対応地域:柏市および千葉県北西部・都内
電話:047-343-9519
メール:下部のお問い合わせフォームより
受付時間:平日10:00〜19:00
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