江東区に拠点を構えるある株式会社は、これまでオンラインでアクセサリー販売を展開し、一定の成果を上げてきました。
さらに事業を拡大すべく、自社ブランドの実店舗を出店する計画を立てました。
しかし、出店にはまとまった資金が必要となり、自己資金だけではまかなえない状況に。そこで注目したのが、日本政策金融公庫による融資制度でした。
とはいえ、同社には期によって売上に大きな変動があり、金融機関にとっては「安定性」が不安視されがちなポイントでもありました。
加えて、新店舗の売上は出店前には見通しにくく、融資審査においてはリスクとみなされる可能性もあります。
このような課題に対し、行政書士として支援に入った私は、融資担当者の目線を意識しながら、綿密な事業計画と資料作成を行いました。
その結果、同社は希望額どおりの融資を受けることに成功し、晴れて店舗出店にこぎつけることができました。本記事では、その過程と成功のポイントについて詳しくご紹介します。
日本政策金融公庫とは?流山市での利用メリット
日本政策金融公庫(略称:日本公庫)は、政府が全額出資する金融機関で、特に中小企業や個人事業主向けに融資を行う役割を担っています。
商工中金や信用金庫と並び、地域経済の活性化を目的とした政府系金融機関として位置づけられており、新規開業や事業拡大、設備投資などの資金調達において、重要な選択肢の一つといえる存在です。
地域密着型の支援と低利融資の特徴
日本公庫の大きな特徴は、民間金融機関よりも比較的低金利での融資をしている点にあります。
特に「新規開業・スタートアップ支援資金」など、事業者の成長ステージや目的に応じた多様な制度が用意されており、保証人不要や無担保で利用できるケースもあります。
また、融資の際には長期で返済をすることも可能。運転資金も最長で10年返済で組むことができるケースがある点も、事業者にとって心強い支援のひとつです。
流山市の中小企業に選ばれる理由
流山市は近年、つくばエクスプレス沿線の整備により、人口・商業ともに活性化が進んでいる地域です。
こうした地域で起業や事業拡大を目指す企業にとって、日本公庫は柔軟な資金調達手段となっています。特に流山市内の事業者からは、「創業間もない段階でも親身に相談に乗ってもらえた」「事業の将来性をしっかり評価してくれた」といった声もあり、地域に根ざした支援機関として信頼を集めています。
今回の事例はそのような特徴を持つ、日本公庫の存在が出店実現の大きな後押しとなったのです。
融資成功の背景|ある株式会社の出店計画
今回、日本政策金融公庫からの融資に成功したのは、江東区でアクセサリーの企画・販売を行っている株式会社です。
設立から4期目を迎えた同社は、これまで主にOEMや自社ECサイトを通じて販路を拡大してきましたが、さらなるブランド価値の向上と顧客接点の強化を目的に、自社ブランドの実店舗出店を計画しました。
自社ブランド店舗出店を目指した背景
近年、消費者との直接的なコミュニケーションの重要性が増す中で、オンライン販売に加え、リアル店舗での展開がブランディングや売上向上に寄与するという見込みがありました。
同社にとっても、ファンの育成やリピーター獲得のためには、顧客とリアルに接する場を設けることが重要と判断。
そこで、ブランドイメージに合った立地での出店に踏み切る決断をしたのです。
売上変動という課題と向き合う
とはいえ、同社の事業には売上の波があり、特に2年に1度の大口取引によるスポット売上が収益の大部分を占めていました。
そのため、金融機関の審査においては「一時的な売上に頼っているのでは」といった不安を抱かれるリスクがありました。さらに、初出店という性質上、店舗の売上予測が不確定であることも大きな課題でした。
これらの懸念に対し、行政書士として支援した私は、既存事業と新店舗の収益予測を分けて説明した上で、それらを統合した損益計画を作成。
たとえ店舗の売上が想定を下回った場合でも、既存事業の収益とスポット売上をもとに、安定した返済が可能であることをロジカルに説明できるよう工夫しました。
行政書士によるサポートの全貌
融資を成功させるためには、単に申請書を提出するだけでは不十分です。
審査担当者に対して、なぜ融資が必要で、どう返済していくのかを論理的かつ説得力をもって説明する必要があります。
今回のケースでは、行政書士である私がその役割を担い、融資の成功に向けて戦略的なサポートを行いました。
現状分析から事前協議までの流れ
まずは、株式会社の現在の事業内容や財務状況を詳細にヒアリングしました。
特に重要だったのは、「2年に1度のスポット売上」という独自の収益構造を正しく伝えることです。その上で、融資の申込み前に日本政策金融公庫の担当者と事前に協議を行い、融資の可能性について確認を取りました。
この段階で、出店の目的や既存事業との関係性、今後の成長見込みを丁寧に伝えることにより、担当者の理解と共感を得ることができました。
この事前協議は、融資申請の成功率を高めるうえで非常に効果的な工程となります。
損益計画書・資金繰り表の作成とポイント
次に取り組んだのが、融資審査に不可欠な書類の作成です。
今回は以下のように、3種類の損益計画書を作成しました。
- 損益計画書①:既存事業の収益予測(36ヵ月)
- 損益計画書②:新店舗の収益予測(36ヵ月)
- 損益計画書③:上記2つを合算した全社の損益計画(36ヵ月)
このように分けて作成することで、既存事業の安定性と新規事業の成長性をそれぞれ独立して示し、全体としての健全性をアピールすることが可能になります。
さらに、資金繰り表(12ヵ月分)も併せて提出し、月ごとのキャッシュフローが明確になるよう工夫しました。これにより、金融機関側も返済可能性を具体的にイメージしやすくなり、審査の通過につながったといえます。
融資成功のカギとなった資料と戦略
融資を成功させるためには、提出する資料の内容と構成が極めて重要です。
とくに「根拠ある数値」と「継続性のある収益計画」を提示することは、日本政策金融公庫の審査を通過するうえで不可欠です。
今回のケースでも、資料の精度と戦略性が、融資成功の大きな要因となりました。
3種類の損益計画書で説得力を高める
本件では、前述した通り、単に新店舗の売上げ予測だけを提示するのではなく、既存事業と新規事業の収益を分けて計画書を作成し、最終的に両者を合算した「全体の損益計画書」を用意しました。
- 既存事業の損益計画書(36ヵ月分)
- 新店舗の損益計画書(36ヵ月分)
- 1と2を合算した全体の損益計画書(36ヵ月分)
繰り返しになりますが、この3段階構成により、新店舗が多少売上不振に陥っても全体としての収益が確保されるというシナリオを明確に示すことができました。
審査担当者に「この会社は全体として堅実な経営ができる」と印象づけることができた点が、非常に大きなポイントです。
スポット売上の継続性をどう示したか
同社の事業では、2年に1度の大口取引による「スポット売上」が大きな収益源となっています。ただし、この収益が一時的なものであると判断されると、審査上不利に働くリスクもありました。
そこで、過去の実績をもとにスポット売上の発生時期と金額の傾向を整理し、「今後も定期的にこの規模の売上が見込める根拠」を資料として提示しました。
さらに、該当する取引先との関係性や受注見込みの根拠も文章で補足し、ただの偶然や“まぐれ当たり”ではなく、計画的に見込める安定収益であることを強調しました。
このように、売上の継続性を数値とストーリーの両面で示したことが、融資の信頼性を高める結果につながったのです。
面談から融資決定まで
日本政策金融公庫の融資において、提出資料の次に重要なのが「面談」です。
担当者との面談では、事業内容や計画の信頼性、返済能力について直接確認されるため、ここでの印象が融資の可否を大きく左右します。
今回の株式会社の事例でも、この面談をどれだけ戦略的に準備できたかが、結果に直結しました。
面談の内容と注意点
面談当日は、提出済みの事業計画書や損益計画書をもとに、事業の現状や今後の展望についての説明が求められました。
特に注目されたのは以下の3点です。
- 売上の変動理由とその対策
- 出店先の選定理由と売上見込み
- スポット売上の再現性とその証拠
ここで注意が必要なのは、「資料に書いてあるから」と安心せず、自分の言葉で明確に説明できるようにしておくことです。
また、事業の熱意や成長ビジョンを口頭でもしっかり伝えることが、信用力アップにつながります。
私たち行政書士の立場からは、予想される質問に対する回答シナリオを事前に整理し、アドバイスを行うなどのサポートもしました。
希望額満額での融資決定の瞬間
面談後、わずか6日というスピードで融資の承認が下りました。しかも、申請した金額が満額での決定という、事業者にとって理想的な結果です。
これは、事前協議の段階から審査担当者の理解を得られていたこと、提出資料に過不足がなく説得力があったこと、そして面談での対応が的確であったことの三拍子が揃っていたからにほかなりません。
江東区のこの株式会社のように、適切な準備と戦略的な支援があれば、日本政策金融公庫の融資は決してハードルが高いものではないのです。
まとめと行政書士からのアドバイス
今回ご紹介した株式会社の事例は、事業者が出店資金を確保するためにどのような準備を行い、どのようなプロセスを経て日本政策金融公庫の融資を成功させたのかを示す好例です。
適切な資料作成と面談対応、そして行政書士による専門的な支援があれば、公庫融資のハードルは確実に下がります。
出店資金調達を成功させるための準備とは?
出店に向けた資金調達を成功させるためには、次の3つの準備が重要です。
- 事業全体のビジョンと実現可能性を明確にすること
- 出店がどのように既存事業とシナジーを生むのかを説明できることが求められます。 - 数値計画のロジックを整えること
- 損益計画や資金繰り表を活用し、返済能力を具体的に示す必要があります。 - 面談への備えを万全にすること
- 提出資料の内容を自分の言葉で説明できるよう準備し、信頼性を高めることが不可欠です。
これらの準備を丁寧に進めることで、金融機関の信頼を得ることができます。
流山市で公庫融資を目指す方へのメッセージ
流山市で事業を営む方々にとって、日本政策金融公庫の融資は非常に有効な資金調達手段です。
特に創業間もない企業や店舗出店を目指す中小企業にとっては、低利かつ柔軟な融資制度は大きな味方となります。
行政書士として、私は書類作成のサポートはもちろん、事前協議や面談対策まで一貫して支援を行っています。自分ひとりでは不安な手続きも、専門家の助けを借りることでスムーズかつ効果的に進めることが可能です。
「本当に融資が通るのだろうか」と迷っている方こそ、ぜひ一度ご相談ください。流山市での事業発展を全力でサポートいたします。
流山市で出店・融資をお考えの方へ|行政書士に相談するメリット
出店や新規事業の立ち上げには、多くの準備と的確な手続きが求められます。
特に日本政策金融公庫の融資を活用する場合、審査に通るための資料の作成や戦略的なアプローチが不可欠です。こうした手続きに不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
行政書士に相談することで、次のようなメリットがあります。
- 融資に適した事業計画書・損益計画書の作成支援
専門的な視点で金融機関に伝わりやすい資料を作成し、説得力を高めます。 - 日本政策金融公庫との事前協議のサポート
初めての融資申請でも、公庫との事前交渉を通じて通過率を向上させることが可能です。 - 面談対策と想定質問へのアドバイス
審査のポイントを把握し、自信をもって説明できるように準備を支援します。 - 特性を踏まえた具体的な提案
個々の事業状況に応じたアドバイスや提案が受けられます。
行政書士は、単なる書類作成の代行者ではなく、事業者の目標達成を支援するパートナーです。
流山市で出店を計画している方、公庫融資を検討している方は、ぜひ早い段階でご相談ください。失敗しない資金調達と、確実な事業展開を一緒に実現していきましょう。