創業融資について調べていると、「自己資金がゼロでも大丈夫」「少額でも何とかなる」という情報を目にすることがあります。
しかし、実際に相談を受ける現場では、「本当にそれを信じて良いのか」「無理な申請で信用を落とさないか」と不安に感じる方も多いのが実情です。
とくに貯蓄がほとんどない状態で起業を考えている方にとって、融資が現実的かどうかの判断は非常に重要です。
本記事では、自己資金がゼロまたはほとんどない場合の創業融資について、実務目線で解説します。
結論:自己資金ゼロ・ほぼゼロなら「無理」と判断した方が現実的
結論として、自己資金がゼロ、もしくは極端に少ない場合は、創業融資は「基本的に無理」と判断した方が現実的です。
制度上は申請できますが、審査に通る可能性は極めて低く、否決や減額されるケースが大半です。無理に申請することで、金融機関にマイナスの印象を残してしまうリスクもあります。
自己資金がないと厳しい理由
創業融資では、自己資金は単なる資金の一部ではなく、「事業に対する準備度」や「貸し出しリスク」を示す重要な判断材料です。とくに日本政策金融公庫の創業融資では、自己資金は事業への準備具合を裏付ける要素としても重視されます。
自己資金がない場合、金融機関は「借り入れだけに依存している」「想定外の事態に耐えられない」と判断しやすくなります。その結果、どれだけ計画が立派でも、スタートラインに立てないことが多いのです。
よくある誤解:制度上は可能=実際も通る?
「制度上、自己資金ゼロでも申請できる」と聞いて安心する方もいますが、これは大きな誤解です。
制度と審査は別物であり、実務上は自己資金ゼロの案件はほぼ通りません。
日本政策金融公庫の創業融資制度は、一昔前には1/10の自己資金が必要という条件がありました。現在はその条件はなくなり、誰でも申請が可能です。
しかし、審査の内容は今も昔も大きな変化はありません。希望額の融資を受けるには2割から3割の自己資金を持っている必要があります。
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実務での注意点:無理な申請は将来の足かせになる
自己資金がほとんどない状態で融資申請を行い、否決されると、その履歴は金融機関側に残ります。
将来、自己資金を貯め直して再挑戦する際に、「以前否決された案件」として見られる可能性がある点は見逃せません。
そのため、「今は時期ではない」と判断することも、経営判断として重要です。
まずは自己資金を一定額まで積み上げる、スモールスタートで実績を作るなど、段階的な準備が現実的です。
専門家ができる支援内容
行政書士など創業支援の専門家は、「今すぐ融資を受けるべきか」「まだ準備段階か」という判断そのものをサポートします。
自己資金が不足している場合でも、必要額の目安を示したり、資金を貯める期間中に準備すべき事業計画を整理したりすることで、将来の融資成功率を高めることができます。
無理に申請させるのではなく、通る可能性が高いタイミングを見極めるのも専門家の役割です。
まとめ
自己資金がゼロ、またはほとんどない場合、創業融資は「無理」と判断するのが現実的です。
希望的観測で申請を繰り返すよりも、まずは自己資金を準備し、事業計画を磨く方が結果的に近道になります。創業は資金調達だけがゴールではありません。長く事業を続けるためにも、冷静な判断と段階的な準備を心がけましょう。
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