お店を出すにもお金が必要です。
その資金を調達する方法のひとつとして融資があります。
ただ、「どこで借りたらよいのだろう?」「銀行に違いがあるのだろうか?」という疑問がある方もいらっしゃると思います。
そこで、開店する時の融資の申込み先となる金融機関について書いてみました。
少しでもお役に立つ内容であれば幸いです。
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- この記事は以下の内容で構成しています。
- 融資をしてくれる金融機関とは?
- 創業時に使いやすい金融機関
- 融資を受けるには審査がある
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融資をしてくれる金融機関とは?
まず、事業資金の融資をする金融機関にはどのような所があるのでしょうか?
列挙してみましょう。
金融機関の種類
それぞれの金融機関の特徴を挙げてみます。
メガバンク
「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」「みずほ銀行」の3行をいいます。
りそな銀行も含めて4大銀行と言うこともあります。
メガバンクは企業規模が巨大なため、融資額の大きい案件を好みます。
開業資金のように数百万円単位の金額は、メガバンクにとって少額の部類に入るので敬遠されることが多いです。
地方銀行
第一地銀と第二地銀があります。
本店所在地がある都道府県を中心に展開しており、隣県にも支店を構えています。
ちなみに、千葉県に本店を置く地方銀行は「千葉銀行」「千葉興業銀行」「京葉銀行」です。
千葉銀行と千葉興業銀行が第一地銀、京葉銀行が第二地銀となっています。
融資姿勢としては創業者向けにも融資を行います。
ただし、多くの場合「信用保証協会の保証を得ること」が条件となります。
信用金庫
地域密着型の金融機関です。
信用金庫自体の預金残高がメガバンクや地銀に比べると少ないため、1件ごとの融資金額も小さくなります。
ですが、創業融資のような数百万円の融資にも対応してくれます。
ただし、信用金庫から融資を受けるには会員になる必要があります。
また、こちらも地方銀行と同様に信用保証協会の保証が必要です。
千葉県内に本店所在地がある信用金庫は以下のとおりです。
・千葉信用金庫
・銚子信用金庫
・東京ベイ信用金庫
・館山信用金庫
・佐原信用金庫
信用組合
信用金庫よりも規模が小さい金融機関になります。
融資を受けるには組合員になる必要があり、保証協会の保証も必要です。
千葉県内に本店がある信用組合は以下のとおりです。
・房総信用組合
・銚子商工信用組合
・君津信用組合
信用金庫と信用組合はプロパー融資(※信用保証協会の保証が不要の融資)の金利が他の民間金融機関より高めです。
その分、きめ細かいサービスをしてくれます。
日本政策金融公庫
政府系の金融機関です。
公的な金融機関のため、その時々の政策に沿った融資を行います。
ここ数年間は、創業や事業承継、ソーシャルビジネスを積極的に支援しています。
災害などの非常時にも支援を行い、最近ではコロナの特別貸付制度が記憶に新しいところです。
また、国民生活事業部と中小企業事業部が存在しており、事業が一定規模に成長するまでは国民生活事業部を利用します。
年商規模が5億~10億になってくると国民生活事業部の制度では十分に対応できなくなるため、中小事業部を使うようになります。
商工中金
こちらも国の金融機関です。
ですが、商工中金は比較的年商規模が大きくなってから利用できるようになります。
年商規模が数億単位になると利用できるので、創業期に融資を申し込むことはありません。
以上のように様々な金融機関が存在しています。
創業時に使いやすい金融機関
金融機関ごとの特徴をふまえて、創業融資ではどの金融機関を使うとよいのか見ていきましょう。
日本政策金融公庫に申し込む
開業時の融資で最初に候補にあがるのが日本政策金融公庫です。
創業融資に対して非常に積極的に対応してくれます。
創業者向けの融資制度をいくつも用意しており、長期間、低金利での融資が可能です。
運転資金であれば7年返済、設備資金は10年返済が相場です。
金利は借りる人の条件によりますが、1~2%台となることがほとんどです。
このように、長期、低利で融資が受けられるのでメリットがあります。
また、審査期間も比較的短く、申し込みから入金まで約1ヶ月です。
後述する信用保証協会の保証付き融資よりも入金まで時間がかかりません。
基本的には数百万円単位で融資を行いますが、
公庫単独で対応できない場合は民間の金融機関といっしょに融資をする「協調融資」をすることもあります。
このように、柔軟に対応してくれるため、創業時にはまず検討してみるとよいでしょう。
公庫が創業融資に力を入れる理由
なぜ積極的に創業融資をするかというと、
日本公庫は政府系の金融機関のため、一般的な銀行が融資できない案件を補完する役目が課せられています。
民間の銀行は、これから開業する、実績がない会社に融資するのは、リスクが高いので消極的になります。
銀行が創業者に融資をしなければ開業する人は減り、経済が発展しません。
そこで、経済を発展させるため政府が創業支援に力を入れています。そのため、日本政策金融公庫は政府の方針にしたがい、民間ができない部分を補って創業者にも融資を行っているのです。
ちなみに、公庫では段階的に創業融資制度の拡充も行われており、
コロナ以前は毎年2万6千件~2万8千件ほど全国で創業融資を実行していました。
信用金庫か信用組合に申し込む
信用保証協会の保証が必須
各都道府県に信用保証協会という公的機関が存在しています。
千葉県なら千葉県信用保証協会です。
この信用保証協会の審査に通り、保証を受けることで民間の金融機関から融資を受けることができます。
保証協会は返済不能になった会社の残債を、その会社に代わって銀行に返します。(会社は信用保証協会から代わりに払った分を返せと言われます)
銀行は保証協会がつけば回収リスクを減らすことができるので、創業時のようなリスクがある案件でも融資ができるのです。
この信用保証協会の保証を受けることを前提に信用金庫や信用組合に融資を申し込みます。
なぜ信用金庫、信用組合なのか
保証付き融資を使う場合、申し込み窓口は金融機関の各支店になります。
そのため、金融機関ごとに熱心に対応してくれるところ、してくれないところがあります。
民間の金融機関にはメガバンク、地方銀行、信用金庫、信用組合とありますが、
この中で創業期の事業でも丁寧に対応してくれるのが信用金庫と信用組合です。
まず、数百万円単位の創業融資でも熱心に対応してくれることが多いです。
過去には融資額の増額を提案されたこともありました。
融資実行後も担当者との距離が他の金融機関よりも近く、コミュニケーションが取りやすいのも特徴です。
メガバンクや地方銀行の行員は一人で100件以上の顧客を抱えているため、すべての融資先をフォーローできません。
なので、優良先ばかりに意識が集中していきます。
反対に、信金や信組は規模が小さいので担当者は融資先とコミュニケーションが取りやすくなります。
この関係性をうまく使い、日頃から自社の情報を担当者と共有しておくと、その後の支援も受けやすくなります。
このように、創業時の融資だけでなく、融資実行後のサービスのきめ細やかさという点も考慮すると信金や信組はおすすめです。
制度はわかりにくい
信用保証協会の保証付き融資は制度が若干複雑で、都道府県の制度と市区町村の制度があります。
市区町村の制度は利息が低くなったり、後で利息分が一部返還されたりする制度があります。
ですが、市町村ごとに条件が違うので自分が対象になるのか調べる必要があります。
お住いの市町村名で検索してみてもいいかもしれません。
創業時は「日本政策金融公庫」と「信用保証協会の保証付き融資」を検討していくのが基本的な方法になります。
融資を受けるには審査がある
日本政策金融公庫と信用保証協会の保証付き融資で創業融資を受けられるといっても審査があります。
やはり、融資なので返済しなければなりません。
両方とも審査している項目は基本的に同じと考えていただいて問題ありません。
・自己資金
・開業業種の経験
・事業計画書
他にもありますが、重視しているのはこの3点です。
融資金額に対して自己資金が少なければ厳しくなりますし、開業業種の経験がなければ厳しくなります。
ネット上では「公庫は借りやすい」など書いてありますが、私は必ずしもそうとは限らないように感じます。
私が創業融資のご支援をさせていただく中で感じるのは「条件がそろっている人はスッと審査に通る。逆に不利な点がある人は苦労する」ということです。
さいごに
金融機関にはさまざまなところがあります。
そのなかでも、創業時は日本政策金融公庫を使うこと、信金や信組に信用保証付きの融資を申し込むのがおすすめです。
ある程度の規模に成長してくると、創業時に融資を受けた公庫や信金、信組だけでは対応できなくなってきます。
この段階になると規模の大きい地方銀行との付き合いを始めていくようになっていきます。
事業の規模に合わせて取引金融機関も大きくする、増やすといったイメージです。
ところかまわず借りるのではなく、金融機関の特徴をふまえて、戦略的にお付き合いしていくことも事業を発展させていくためには大切です。