千葉県柏市 起業資金を借りる金融機関の選び方

千葉県柏市 起業資金を借りる金融機関の選び方

「起業資金はどの金融機関から借りるといいですか?」
こんな質問をされることがあります。
ということで、今回は金融機関の選び方について書いてみたいと思います。
少しでもご参考になれば幸いです。

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    この記事は以下の内容で構成しています。

  • 金融機関の種類と特徴
  • 起業資金の融資を申し込みたい金融機関
  • 個人的におすすめしない金融機関
  • 創業融資決定後の金融機関を強い味方にする方法

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金融機関の種類と特徴

まず、起業資金を借りる金融機関の種類とそれぞれの特徴を見ていきます。

日本政策金融公庫

政府系の金融機関です。
民間金融機関で融資を受けにくい事業者や起業時の融資を積極的に行っています。
創業融資といえば日本政策金融公庫というイメージです。

金利は2%台前半で創業者向けの融資制度が利用でき、
条件が合えば1%台で利用できる制度も用意されています。
(利率は一定期間で更新される)

政府系の金融機関ということで、
災害や深刻な経済危機が訪れた際は緊急措置的に融資制度が創設されます。
例えば、リーマンショックや東日本大震災、新型コロナウィルスの対応で特例措置が発動されました。
その他、台風や地震などで被害が出た場合でも資金繰り支援が行われています。

メガバンク

三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3行をまとめてメガバンクと呼んでいます。
りそな銀行も含めて4大銀行と言うこともあります。

知名度も抜群で企業規模も巨大です。
三菱UFJ銀行は2019年3月末時点で、約87兆円の融資量があり、全国1位の融資量となっています。

金額の大きい融資案件を好んで行い、
創業融資のような数百万円単位の案件は扱わない傾向があります。
また、起業したてで口座開設に行くと門前払いを食らうことが多いのもメガバンクです。

地方銀行

本店所在地のある都道府県を中心に営業しています。
千葉県内に本店を置いている銀行は以下の3行です。
・千葉銀行
・千葉興業銀行
・京葉銀行

隣県にも店舗を出しているため、
都内に千葉銀行の支店があったり、逆に茨城県の地銀の支店が千葉県内にあったりします。

起業時の融資では信用保証協会の保証を付けて融資を行います。
プロパー融資の場合、金利が多少メガバンクよりも高くなる傾向にあります。

信用金庫

地域密着型の金融機関です。
千葉県内に本店所在地がある信用金庫は以下です。
・千葉信用金庫
・銚子信用金庫
・東京ベイ信用金庫
・館山信用金庫
・佐原信用金庫

起業時は信用保証協会の保証付きで融資を行います。
ただし、信用金庫から融資を受けるには会員にならなければいけません。
また、信用金庫自体の預金残高がメガバンクや地銀に比べると少ないため、
案件ごとの融資金額も小さくなります。

信用組合

信用金庫よりも規模が小さい金融機関です。
千葉県内に本店がある信用組合は以下です。
・房総信用組合
・銚子商工信用組合
・君津信用組合

融資を受けるには組合員になる必要があります。
こちらも起業時には信用保証協会の保証付きで融資を行います。

信用金庫と信用組合はプロパー融資の金利が他の民間金融機関より高めです。
その分、きめ細かいサービスをしてくれます。

ノンバンク

預金業務などは行わず貸し出しのみを行っている金融会社です。
貸し出すための原資となる資金は銀行などからの借入れによって調達しています。
そのため、金利が銀行よりも高く設定されています。

「闇金」と混同されがちですが、まったく別物です。
闇金とは必要な登録を行っていなかったり、利息制限法の上限を超える金利でかしているなど、
違法状態の業者をいいます。

金融庁のホームページで登録されているかどうか確認可能です。

銀行などより金利が高いので、上手に使えば強い味方になりますが、
使い方を誤ると経営に悪影響を及ぼします。

以上、主な金融機関の種類と特徴を見てきました。

起業資金の融資を申し込みたい金融機関

それでは、どの金融機関に融資を申し込むべきなのでしょうか。
おすすめの金融機関をお伝えします。

日本政策金融公庫の創業者向け融資制度を使う

まず、起業資金の融資でおすすめなのが日本政策金融公庫です。
最初に日本政策金融公庫の創業融資を検討するのがセオリーとなります。
民間の銀行員と話をすると「公庫の創業融資はすごい」と言うくらい、創業案件には積極的です。

創業者向けの融資制度も多く用意されています。
制度をいくつか挙げてみます。

新創業融資制度

おそらく一番有名な創業融資制度です。
総必要金額の1/10以上の自己資金を持っている必要があります。

女性、若者/シニア起業家支援資金

女性または35歳未満か55歳以上の方は利息が軽減されます。

中小企業経営力強化資金

税理士などの認定支援機関の支援を受けることを条件に利用できる制度。
制度利用から3年ほどモニタリングを受ける必要があります。
制度の運用当初は利率も低くよく利用されたものの、現在はそうでもありません。
ただし、支店決済額が上がるので1000万円以上の大きい金額を申し込むならメリットあり。

ソーシャルビジネス支援資金

NPO法人のほかに保育サービス、介護サービス、そのたの社会的課題を解決する事業者が対象の制度。
利息の低減もあり。

再挑戦支援資金

過去に廃業歴がある人を対象とした制度。
廃業時の負債がこれから始める事業に影響を与えないことや、廃業理由がやむを得ないものであることが条件。
過去の廃業歴があるため、融資のハードルは高くなっています。

新規開業資金

各市町村で行われている「創業スクール」を修了すると金利が少し引き下げられます。
その他、Uターン等での起業など所定の条件にあてはまる方は利息が低く設定されることがあります。

以上のように日本政策金融公庫は創業融資制度が充実しています。
当事務所が関わらせていただく方の多くは日本政策金融公庫を利用しています。
また、融資の審査も柔軟に対応してくれている印象です。
まずは日本政策金融公庫を検討してみましょう。

信用金庫や信用組合で信用保証協会の保証がついた融資を申し込む

日本政策金融公庫のほかに「信用保証協会」という公的機関があります。
この信用保証協会の保証を受けることを条件として、民間金融機関が融資を行います。

この融資制度も起業時の借入れによく利用されます。

保証協会を使う時は民間の金融機関を使いますが、窓口となる金融機関選びも大切です。
私がおすすめしているのは「信用金庫」や「信用組合」といった小規模で地域に根差した金融機関です。

理由としては
・創業融資のような数百万円単位の小口融資も積極的に支援してくれること。
・融資実行後のお付き合いがしやすいこと。
・融資後の関わり方によっては、色々な提案をしてくれること。
などがあります。

とくにメガバンクなどは創業のような小口融資は消極的なので、開業後のことも見据えて信金、信組とお付き合いをしていくとよいでしょう。

信用金庫、信用組合は近くの支店の熱心な担当者がいる所へ

信用金庫や信用組合がおすすめと言われても、どこの信金や信組に行ったらよいのか迷います。
そして、融資は担当者の影響がでることも多いです。
誰に当たるかは運しだいという一面があります。

そんな時は、近くの信用金庫や信用組合をいくつか(2,3ヶ所)事業計画書を持参して回ります。
対応してくれた担当者で積極的に動いてくれそうな人がいる金融機関に決めてみると良いです。
過去に関わらせていただいた方の中には、400万円借りたいと言ったら「500万円にしませんか?」というように、増額提案された方もいらっしゃいます。
このように積極的な姿勢の担当者がいるところに申し込むと良いでしょう。

こんな事例も…

過去のお客様の事例で、日本政策金融公庫と信用保証付きの融資両方を利用した方がいらっしゃいました。
先に日本政策金融公庫で申し込みましたが、200万円に減額でした。
ですが、信用金庫からは300万円の希望通りで決まりました。
この信用金庫の担当者は熱心な方で、信用保証協会に粘り強く交渉してくださいました。
そのおかげで希望通り決定しました。

日本政策金融公庫も民間の金融機関も担当者の影響は大きいです。
担当者に融資しても大丈夫だと思わせる事業計画書や対策をしていくと、さらに良いです。

個人的におすすめしない金融機関

逆に個人的にあまりおすすめできない金融機関があります。
解説していきます。

セーフティーネット保証制度7号の指定を受けている金融機関

中小企業庁のホームページ上の「指定金融機関リスト」で調べることができます。
「セーフティーネット 7号保証」などで検索してみると良いでしょう。

このリストに載っている金融機関は、簡単に言ってしまえば貸し渋っている金融機関です。

リストは半年ごとに更新されます。
ちなみに、令和2年1月~令和2年6月まで指定を受けている金融機関は以下の通りです。
・スルガ銀行
・十六銀行
・東日本銀行
・宮古信用金庫
・津信用金庫
・会津商工信用組合
・新潟大栄信用組合
・中央信用組合

絶対に融資しないということではありませんが、他の金融機関の方が無難かと思います。

ノンバンク

ノンバンクは使い方次第ですが、
長期間の借入れになることが一般的な起業資金の融資には向かない、というのが個人的な意見です。

不動産を担保とするノンバンクで5%~10%。
日本政策金融公庫や制度融資なら2%台。
ノンバンクは利息の負担が倍以上になります。
そのため、借りる金額や返済期間によっては、開業後の返済負担が重しになる可能性があります。

ノンバンクでは大きな金額を長期間借りるのは避けるべきで、
利用するなら、小さい金額を短期の返済で利用する方が良いです。

メガバンク

意外なところですがメガバンクはおすすめしていません。
メガバンクの傾向として金額の大きい案件を好む傾向があります。
起業資金のように数百万円単位の金額は、メガバンクにとって少額の部類に入るので敬遠されます。

その理由のひとつとして、
数千万円の融資も数百万円の融資も、銀行員の仕事量にほとんど差がありません。
であれば、百万単位より千万円単位の融資を通した方が、銀行マンの営業成績になりやすいです。

たとえば、500万の創業融資を5本通すより、
3000万の融資を1本通す方が成績的には優秀で、効率的ということです。

また、開業後のお付き合いという理由もあります。
メガバンクは規模が大きいので、一人の担当者が数百件の会社を受けもっています。
そうなると、担当者との関係が希薄になりやすいです。
特に財務内容が悪い会社などは、訪問対象から外れるので、いざという時にドライな対応をされる可能性があります。

以上のような理由から特別な理由がない限り、起業したてで付き合うメリットは無いと思ってよいでしょう。

創業融資決定後の金融機関を強い味方にする方法

ここからは補足的な内容になりますが、多くの会社が実行していないことです。
よろしければお読みください。

一度融資を受けたらそれで終わりではありません。
ここでどのような行動を起こすかで、金融機関を強い味方にできるかどうかが変わってきます。

今後、融資してもらいやすい体制を作る

金融機関から起業資金の融資を受けたら、それで終わりではありません。
ほどんどの事業者が融資を申し込むときや決算書を渡す時だけ銀行に行っています。
せっかく銀行と取引が始まったのに、これではもったいないです。

融資を受けたら、次の融資を受けやすくする「支援体制の強化」に取り組みましょう。
特に、民間の金融機関を利用して融資を受けた場合は大チャンスです。

実績報告と予定を報告するだけ

「支援体制の強化方法」は3,4ヵ月に1回、実績と今後の予定を銀行の担当者に報告します。
1時間もあれば十分です。

毎月の試算表や資金繰り表を用いて報告を行います。

このようなことをしている会社は全国に1割もないと言われています。
そのため、銀行員に自社の事業内容を理解してもらえるとともに、評価を上げることができます。
このようにして金融機関と関わることを「リレーションシップバンキング」ともいいます。

この関係構築が将来の資金調達のしやすさに繋がっていくのです。

その実際の効果とは

当事務所のクライアント様でも定期的に報告を行っています。
実際にあった出来事ですが、
3回くらい報告すると担当者から「融資うけませんか?」と提案される。
ある信用組合の副支店長さんから「いつでもご支援しますので」と言われる。
ということもありました。

このように言われると、何もないより少し安心して経営に集中できそうです。

報告に関しては1円もかからずにできるので、ぜひ実行して欲しい活動です。

金融機関との取引は徐々に増やす

融資を受ける金融機関の数は、事業の成長に合わせて増やしていきましょう。

最初に融資を受けた金融機関以外と付き合うと、前から付き合いのある金融機関に対して「失礼なんじゃないか」と考える方もいらっしゃいます。

ですが、この1行取引はおすすめしません。

金融機関は「これ以上の融資はきついかもしれない、うちが融資をしないとこの会社は大丈夫なのか」と考えます。
他の金融機関からも融資してもらえる体制を整えておけば、貸す側としても安心感がでてきます。

自社としても資金調達先を複数持っておくことはメリットになります。

銀行としても「A銀行が融資するなら、うちも融資しよう」というように他行の出方を気にすることもよくあります。

複数行との取引はリスクヘッジという点でも大きいのでおすすめです。

小規模な金融機関から

創業したての場合は、日本政策金融公庫や信用金庫、信用組合といった小規模な金融機関とお付き合いをしていきます。

企業の成長に合わせて、第一地銀とも取引を開始します。
さらに発展したら日本政策金融公庫の中小企業事業や商工中金、サブバンクとしてメガバンクと取引する。
というように、少しずつ取引金融機関の数や規模を大きくしていけると理想的です。

以上のように、起業時に融資を受けたらそれで終わりではありません。
数年先の事業のことも視野に入れながら、起業当初から上手く金融機関と付き合っていきましょう。

まとめ

金融機関の選び方をお伝えしてきました。
融資には個々人により状況が違うこともあり、これが正解というものがありません。
そのため、今回の内容が絶対的に正しいかといえば、そんなことはありません。

ただ、セオリーはあります。
そのセオリーが今回の記事です。
以下がこの記事のまとめになります。ご参考になれば幸いです。

・金融機関には様々なところがある
日本政策金融公庫、メガバンク、地方銀行、信用金庫、信用組合、ノンバンク

・創業融資は日本政策金融公庫か信用保証協会の保証付き融資を使う

・信用保証協会を使う時は信用金庫や信用組合がおすすめ

・創業融資にメガバンク、ノンバンク、セーフティーネット7号認定の金融機関はおすすめしない

・融資を受けたら定期的に報告を(特に信用保証協会を利用した場合)