柏市 開業する時の制度融資 返済期間による返済負担額の違い

柏市 開業する時の制度融資 返済期間による返済負担額の違い

創業融資の返済期間はどうしたらよいでしょうか。
長く借りるべきか、それとも早く返すべきなのか。
迷うところです。

今回は長期返済と比較的短めに返済する場合を例に、シュミレーションしてみました。
少しでもお役に立つ内容であれば幸いです。

千葉県の制度融資の概要

まず、前提として制度融資の説明です。
創業融資を受ける方法として各都道府県にある「信用保証協会」の保証を受けることを条件に融資をしてもらう制度があります。
「制度融資」と言ったりします。

信用保証協会の保証を受けることが条件

「制度融資」を利用するには、各都道府県にある「信用保証協会」という機関から保証を受ける必要があります。
千葉県なら「千葉県信用保証協会」です。
信用保証協会から保証を受けることができれば、希望の金融機関から融資を受けることができます。

ここで注意したいのは、実際にお金を出すのは銀行などの金融機関です。
したがって、信用保証協会は保証するだけであり、直接お金は出しません。

また、融資制度も「県」の制度「市町村」の制度が用意されています。
とくに市町村の制度は、自治体ごとに条件が違うので調べる必要があります。
(市町村によっては融資制度がないところもあります)

千葉県の創業融資制度

この記事では市町村単位の融資制度ではなく、千葉県全域で利用できる創業融資制度をご紹介します。
(令和6年7月現在)

【創業関連保証】

・利用できる方

(1)事業を営んでいない個人で、1ヶ月以内に新たに事業を開始する具体的計画を有する方。
(2)事業を営んでいない個人で、2ヶ月以内に新たに会社を設立し、当該会社が事業を開始する具体的な計画を有する方。
(3)中小企業者である会社であって、自らの事業の全部又は一部を継続して実施しつつ、新たに会社を設立し、当該会社が事業を開始する具体的な計画を有する方。
(4)事業を営んでいない個人が事業を開始した日以後5年を経過していない方。
(5)事業を営んでいない個人により設立された会社であって、設立の日以後5年を経過していない方。
(6)中小企業者である会社であって、自らの事業の全部又は一部を継続しつつ、新たに設立された会社であって、設立の日以後5年を経過していない方。

・保証限度額
3500万円以内

・資金使途
創業により行う事業の実施のため必要となる設備資金および運転資金。

・保証期間
10年以内(据置1年以内を含む)

・返済方法
分割返済

・利率
金融機関所定利率

・担保
不要

・連帯保証人
必要となる場合がある

・信用保証料率
0.8%

・解説
制度融資の特徴として「信用保証料」を支払う必要があります。
融資額が数百万円であれば数万円程度ですが、日本政策金融公庫とは違う部分なので覚えておきましょう。

もう一つ【スタートアップ創出促進保証制度】という制度もあります。
ただこの制度は、銀行がプロパー融資を同時に実行することが条件になっています。プロパー融資は銀行の貸出しリスクが上がるため銀行としては取り組みにくくなります。なので、現実的には前掲の「創業関連保証」で実行することがほとんどでしょう。

また、県の制度ではなく市町村の制度を使う場合は、ここに記載した制度とは別の制度が用意されています。
各市町村ごとに融資制度の条件が異なります。
お住いの市町村のホームページなどで調べてみましょう。

市町村の融資制度の特徴

市町村の融資制度は各々違いますが、多くの自治体で共通する部分もあります。
よくあるのが「利子補給」と「信用保証料の補助」です。

「利子補給」というのは、銀行に支払った利息の一部を、後で自治体が補助してくれるものです。
そして、「信用保証料の補助」というのは、前掲した信用保証料の一部を自治体が肩代わりしてくれます。

このように、市町村の融資制度には特典が用意されていることが多いです。
その反面、融資までの手続き工程が増えるので、入金まで長期間かかります。
最低でも3ヵ月はみておいた方がよいでしょう。

以上、制度融資の概要について解説してきました。
ここからは、返済期間について具体的な例も使いながら解説していきます。

返済期間が違うとどうなるのか事例で解説

ここからは、返済期間が違うとどのような違いがあるのか例を挙げてみてみましょう。
長期で借りた場合と比較的短期で借りた場合の二つでシュミレーションしてみます。
なお融資額はどちらも500万円で計算します。

短めの期間(3年)で借りた場合

まずは3年という比較的短い期間で返済するケースの例です。
以下がその条件となります。

・融資金額:500万円
・返済期間:3年
・据置期間:なし
・利息:2.2%

という条件で金融機関と契約したとすると、どのようになるのでしょうか。

・毎月の元金返済:500万円÷36ヵ月=約13万9千円
・毎月の利息:約9200円(元金の返済が進むと少なくなっていきます)
・元金と利息を合わせたひと月あたりの金額:約14万8千円

というように15万円弱のお金が出ていきます。

長い期間(7年)で借りた場合

次に7年という長期で返済するケースの例です。
前掲した千葉県の創業融資制度は10年となっていますが、7年で計算しました。
以下がその条件となります。(黄色が付いている箇所が短く返す例と異なるところです)

・融資金額:500万円
・返済期間:7年
・据置期間:6ヵ月
・利息:2.2%

という条件で借りるとどうなるでしょうか。

・毎月の元金返済:500万円÷78ヵ月(据置期間6ヵ月は元金返済不要)=約6万4千円
・毎月の利息:約9200円(元金の返済が進むと少なくなります)
・元金と利息を合わせたひと月あたりの金額:約7万3千円
・据置期間中の支払額:約9200円

というように7万3千円のお金が出ていきます。

以上のように計算結果がでました。
次項では両者の違いを見ていきたいと思います。

7年返済と3年返済を比較

前項で返済期間を変えて計算してみました。
ここで比較をしてみたいと思います。

ひと月の返済額

3年で返済する場合:約13万9千円
7年で返済する場合:約6万4千円

7年返済の方が半分以上、ひと月の負担が軽くなっています。

毎月の利息

3年で返済する場合:約9200円
7年で返済する場合:約9200円

両方とも500万円を2.2%で借りているので返済当初は金額が同じです。
ただし、3年で返済する場合は7年返済よりも元金の減少が早いので、利息の金額の減り方も早くなります。
逆に7年返済の場合、元金の減り方が遅く7年間残債があるので、3年で返済するよりも支払う利息の総額は多くなります。

元金と利息を合わせたひと月あたりの金額

3年で返済する場合:約14万8千円
7年で返済する場合:約7万3千円

元金と利息を合わせると、ひと月の支払いは7年返済の方が7万5千円ほど軽くなります。

据置期間

3年で返済する場合:なし
7年で返済する場合:6ヶ月

3年で返済する場合は据置期間なしなので、借入れ初月から返済が始まります。
3年×12ヵ月で36回払いです。

※今回のシュミレーションでは据置期間を設けませんでしたが、3年の返済でも据置期間を設定することは可能です。

7年で返済する場合は据置期間を6ヶ月で設定しました。
借入れから6ヶ月間は利息のみ支払います。その期間が経過したら元金返済が開始します。

7年×12ヵ月-6ヶ月で元金は78回払いとなります。

※もちろん7年返済でも据置期間を設定しないことができます。その場合は7年×12=84回で元金を返済します。

個人的にお勧めするのは長期返済

創業融資はなるべく長期で、据置期間も設定して借りるというのが、個人的にはおすすめです。
なぜかというと、開業時は売上げが十分にないことが多いからです。

その苦しい時期に返済の負担も大きいと、その返済が経営を苦しくする一因にもなりかねません。

据置期間と長期の返済でひと月あたりの出金額を抑える。
その間に売上げを作り、固定客を増やして事業を軌道に乗せたいところです。

前掲の例でも、3年返済の場合のひと月の出金額は約14万8千円。
対して、7年返済の場合は約7万3千円。
この差は創業期にとってかなり大きなものです。

できるだけひと月の返済負担を減らして、お金を広告費などの「お客様作り」に使っていきたいという感じです。

まとめ

返済期間によって、どのような違いがあるのか解説してきました。

まとめると
・短期返済はひと月の返済負担額が大きい。
・長期返済と据置期間を使い、ひと月の返済負担を減らす
・創業融資は長期返済が個人的におすすめ

最後までお読みいただきありがとうございました。
少しでもお役に立つ内容であれば幸いです。