松戸市 創業融資を申し込むタイミング5つ【事例付き】

松戸市 創業融資を申し込むタイミング5つ【事例付き】

こんにちは!
行政書士の柿崎です。
この記事では創業融資を申し込む「タイミング」について書いていきます。

創業融資は創業フェーズであればいつでも使えます。
しかし、申し込むタイミングによって、リスクが高かったり、難易度が上がることがあります。

この記事では5つのケースについて書いてみました。
少しでも参考になる内容でしたら幸いです。

それでは見ていきましょう。

勤務先を退職する前に創業融資を申し込む

創業融資を申し込むタイミングのひとつとして、「勤務先を退職する前に創業融資を申し込む」ことがあります。

否決された時のリスクを抑えられる

このケースのメリットとして「融資が否決された時のリスクが抑えられる」があります。

創業融資は申し込んだ人すべてが受けられるわけではありません。
日本政策金融公庫の通過率は50%前後、一部では20~30%とも言われています。

つまり、少なくとも申し込んだ人の約半数は融資を受けることができません。

否決された時のリスクを避けるために、勤めている間に申し込みます。

勤務先に所属している間に融資を申し込んで、融資がOKならば退職して開業という流れです。
万が一融資が否決された場合でも勤務先で働き続けることができるので、収入がなくなるリスクがありません。

デメリットは?

もちろんデメリットもあります。

たとえば、勤務しながら事業計画書の作成や開業に向けた準備をするので忙しくなります。

また、職場での人間関係にもよると思いますが、融資が否決されて開業しなかった場合、職場での立場が不安定にならないかという懸念です。
これは、上司などにあらかじめ退職するかもしれないことを伝えることがあるためです。

退職前に創業融資を申し込み、無事に開業した事例

私が融資のお手伝いをさせていただいたお客様に整体院を開業なさる方がいらっしゃいました。
その方は勤務先に在職中、当事務所にご相談に来られました。

平日は職場で仕事をこなし、ところどころ有休を使いながら、店舗物件の手配や私との事業計画書の作成、日本政策金融公庫との面談などを行っていきました。

無事に融資が決まったため、勤務先を退職し店舗物件の正式契約や必要な物品の購入、広告出稿などを行い開業に至りました。

不利な点もあり、ご本人も本当に融資が受けられるのか不安をお持ちでしたので、勤めながら融資を申し込んだのは良い選択だったという事例です。

勤務先を退職した後に創業融資を申し込む

勤務先を退職した後に創業融資を申し込むというケースもあります。

リスクが大きい

前掲したように創業融資は少なくとも約半数が否決されます。
そのため、自分は融資を受けられるだろうと思い日本政策金融公庫に行ったものの、審査をしたらゼロ回答だった。ということも普通にあり得るわけです。

融資を受けることが開業の大前提になっていた場合、ゼロ回答では事業を始めることができません。
さらに、勤務先を退職したので収入もありません。
というようにかなりのリスクがあります。

退職後に創業融資を受けた事例

あるフランチャイズに加盟して事業を始める方がいらっしゃいました。
その方は某有名IT企業に勤めており、退職することを勤務先に伝えていました。たまった有給休暇を利用し、1ヵ月間のフランチャイズの研修を受け終わった状態でした。

そして、退職金が数週間後に入金される段階でご相談に来られました。

ご本人のお話によると、当事務所へ来られる前に都内の行政書士事務所に相談に行ったところ、「未経験業種の開業なので怪しい提案をされた」そうです。
その後、私に相談くださったわけですが、私の判断は「正攻法で十分に可能性あり」でした。

私が可能性ありと判断した理由は以下でした。
・勤務先が大手のIT企業だったので、退職金の金額が大きく、自己資金として十分だったこと。
・未経験業種の開業だったものの、フランチャイズに加盟するため、未経験という事実をある程度補えること。
・IT企業ではネット広告を扱っていたため、集客力という点で強みがあったこと。
などでした。

その後、店舗物件の交渉や内外装業者探しと見積もり依頼、事業計画書の作成、日本政策金融公庫との面談を経て無事に満額の融資が決定しました。

無事に融資が決まって良かった案件です。

退職したものの、仮に自己資金が少なかったらとか、FCに加盟しなかったら融資はどうなっていたかわかりません。

開業して数か月後に創業融資を申し込む

開業して数か月後に創業融資を申し込むこともあります。
たとえば、開業して半年とか8ヵ月、9ヵ月経過してから融資を申し込むといったケースです。

このような場合は、まさにケースバイケースの判断になります。
そして、日本政策金融公庫の職員が「一番やりにくい」というのもこのケースと聞きました。

可能性があるケースと難しいケースがありますが、その例を挙げてみます。

可能性があるケース(事例)

あるエステサロンがありました。
開業後、半年ほどたつものの売上げが良くありません。

この状況を打開するために、以前の勤務先が加盟していたフランチャイズに加盟することにしました。
このフランチャイズはサービス面での優位性もさることながら、集客面の支援もしていました。

このフランチャイズに加盟しサービスの優位性+集客の支援が得られることで、売上げは向上するということです。

そこで、FC本部にすでに加盟している他店舗の売上実績を数店舗分もらい、事業計画書を作成し、日本政策金融公庫に融資を申し込みました。

審査の結果としては満額の回答でした。

その後実際にFCに加盟したところ、翌月から過去最高売上げを達成し、数か月後には月商100万円を超えることができました。

現在は社長の経営改善の結果、FCに頼る必要もなくなったため、FCを脱退。毎月のロイヤリティーの支払いがなくなりました。
さらに、高単価のサービスを開始したためコンスタントに月商150万円を超え、200万円の月もでてきました。
融資を受ける前と比べると、まさに大逆転です。

このように融資を受ける以前は業績が思わしくなくても、「業績改善の見込みが現実的」であれば可能性はあるかもしれません。

融資は厳しいケース(事例)

都内の一等地に店舗を構えて開業した方がいらっしゃいました。
開業してから8~9ヶ月経過してのご相談でした。

都内の一等地ということに加え、ビジネス的に未経験業種の開業で人も雇う必要がありました。
そのため、家賃や仕入れ、人件費などの負担が大きく毎月多額の赤字が発生していました。

赤字が改善する兆候は見られず、黒字化するには大幅に業態を転換しなければなりません。
また、仮に業態を変えたからと言って黒字化する保証がないというのも事実です。

この状態のままであれば、仮に融資を受けても傷口がさらに広がり、融資の返済負担が重くのしかかるのが目に見えていました。
なので、融資を受けるのは厳しいという判断になりました。

この事例では、固定費がかかりすぎた当初のビジネスモデル自体が機能しなかったこと。
累積赤字が多額であり、さらに改善の見込みがないため融資の申込みには至りませんでした。

以上の2つの事例からわかるように、開業後は業績や今後の見込みなどによって、融資が左右されます。

開業直後に創業融資を申し込む

開業直後に創業融資を申し込む方もいらっしゃいます。
開業して1ヶ月、2ヶ月後といったタイミングで申し込みます。

自己資金のみで事業を回していくこともできるが、
融資を受けることで、資金繰りの安定や売上げの更なる増加を図ったりすることがあります。
そんな事例を紹介します。

開業1か月半後に創業融資を受けた事例

個人事業で配送業を開業する方がいらっしゃいました。
自己資金のみでも営業できますが、ご本人1人での営業となると、売上げも低く、手元に残る利益も少なくなります。

売上と利益を上げるにはどうしても外注やスタッフを雇用する必要があるとのことでした。

そのためには外注費や人件費にあてる資金が必要となります。
そこで創業融資が必要になるわけです。

事業を開始した月の売上実績をもとに事業計画書を作成。開業して1ヶ月半後に日本政策金融公庫に創業融資を申し込みました。

その後、公庫の面談を経て融資が決定しました。

すべて運転資金での借入れだったため、資金的に余裕を持つことができ、同時にスタッフの雇用もできた案件でした。

副業を本業化する時に創業融資を申し込む

副業を本業にする場合にも融資を使うこともあります。

見通しがつきやすい

副業を本業として始める場合、すでに副業で売上げが作れているため、会社を退職して本業として取り組むケースがあります。

このように、すでに売上実績があれば、開業したものの売上げがゼロというようなリスクは抑えられます。

副業で売上げを出してきた経験と実績をもとに、事業の本格化をしよう。そのために融資を申し込もう、という事例を紹介します。

副業を本業化するために創業融資を受けた事例

会社に勤めながら副業でネット販売をしている方がご相談に来られました。

1年ほど副業を続け、販売方法や商品の改善など試行錯誤を繰り返していたそうです。
その成果が出てある程度の売上げを上げられるようになりました。

今までの副業を本業として始めるタイミングで融資の申込みです。

ネット販売のため、今まで以上の売上げを作るには商品数を多くする必要がありました。商品数を多くするためにはどうしても「仕入れ資金」が必要になります。

そのため、仕入れ資金を主な使い道として融資を申し込みました。

日本政策金融公庫と制度融資の両方に申込みましたが、両方とも満額で決定しました。

この事例のように、実績があって将来の見通しが現実的であると融資もしやすいと考えられます。
副業が収益を上げてきて、本格的に始めるときが創業融資のタイミングといえる事例でした。

さいごに

以上、創業融資を申し込むタイミングを紹介してきました。

今回取り上げた内容としては
・勤務先を退職する前に創業融資を申し込む。
・勤務先を退職した後に創業融資を申し込む。
・開業して数か月後に申し込む。
・開業直後に申し込む。
・副業を本業にするタイミングで申し込む。

創業融資を申し込むタイミングによっては融資自体が難しくなったり、リスクが高くなることがあります。
逆に、融資がすんなりと受けられるタイミングもあります。

個人的には勤務先に所属している間に申し込むと、否決された時でも無収入にならないのでおすすめです。

弊所では創業融資のご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。