松戸市 開業資金の融資を受けやすくするための準備方法

松戸市 開業資金の融資を受けやすくするための準備方法

開業するには資金が必要です。
特に「現金」「運転資金」をたくさん持つことが重要になります。
そのためには、自己資金だけでなく融資を受けるというのも選択肢の一つです。

しかし、ネット上には「創業融資の通過率は20%」などと書かれている…
そのような厳しい創業融資を上手に受けて事業をはじめるにはどうすればいいのか?
創業融資を受けやすくするための準備方法を書いていきます。
長い記事になりますがお役に立つ内容であれば幸いです。

創業融資の対策には時間がかかる

まず前提として、創業融資の審査で重要視されているポイントを紹介します。

創業融資のポイント

創業融資で特に重要視しているポイントは以下の3点です。

1、自己資金
2、開業業種の経験
3、事業計画書の内容

となります。
これは日本政策金融公庫も信用保証協会の保証付き(制度融資)の場合も基本的には同じです。
なので、同じ人が公庫と制度融資を同時に申し込んで、両方の審査を通過することもよくあります。

自己資金を貯めるには時間がかかる

創業融資を受けるのであれば「自己資金」の蓄積が絶対条件になります。
自己資金がゼロで融資を受けるのはかなり厳しいというのが現実です。
また、高額な創業融資を受けるのであれば、それに見合った金額の自己資金を持っておかなければなりません。

たとえば、900万円の融資を受ける場合、300万円くらいは自己資金を貯めておくと理想的でしょう。
逆に、900万円の融資で90万円の自己資金では、制度上不可能ではないかもしれませんが、ハードルはかなり高くなります。
相撲に例えると、審査の土俵に上がるのと、実際に勝負になるかは別問題ということです。

このように創業融資において自己資金はかなり重要なポイントです。
高額な融資や確実に融資を受けたいのであれば、自己資金の蓄積は絶対条件です。

そして、自己資金は一朝一夕で貯めれるものではありません。
勤務先の給料から毎月数万円ずつ、何カ月もかけて貯めていきましょう。

「自己資金を貯める」というのは創業融資の大切な準備になります。

経験を積むのも時間がかかる

創業融資の重要点には「開業業種の経験」というものもあります。
開業業種の経験がある人の方が、ない人より事業がうまくいきやすい。
というのは誰もが納得するところでしょう。
(もちろん経験がなくても成功する方もいらっしゃいます)

また、日本政策金融公庫の調査によると、
未経験者の貸倒率が、経験者のそれよりも高いというデータがでました。

融資をしても回収不能リスクが高いところにお金は貸しにくい、ということです。

なので、「開業業種の経験を積んでおく」というのも
創業融資の重要な準備方法になります。

準備期間が融資を左右する

以上のように「自己資金」と「開業業種の経験」の蓄積状況が創業融資に大きな影響を与えます。
それはつまり、開業後の業績にも影響を与えかねないということです。

希望通りの融資を受けて、資金的に余裕をもって開業できた人。
融資が減額されて、カツカツの状態で開業せざる負えない人。
どちらが成功しやすそうかは想像がつきますね。

創業融資に影響を与える自己資金と経験。
この両方を蓄積するのは開業前です。開業前とは、つまり勤務時代です。
この勤務時代に少しずつ準備してきたことが、いざ開業する時に必ず役に立ちます。

ここからは融資に向けた準備方法を詳しく見ていきましょう。

自己資金を貯める

まずは自己資金について解説していきます。

自己資金は準備の証

金融機関が自己資金を重視する理由のひとつに「自己資金は開業に向けた準備の証として評価する」ことが挙げられます。
開業に向けて準備してきたことが、自己資金から客観的に証明されるわけです。

簡単な例をあげてみます。
開業を決めてから毎月5万円ずつ貯蓄して200万円貯めた人の場合。
200÷5=40カ月

40カ月といえば3年と4ヵ月です。
日々の生活では予想もしないことが起こったりするので、こんなにわかりやすくは行かないと思いますが、
3年半も準備してきたら金融機関からは好印象です。
「この人はしっかり準備してきたんだ、貸しても大丈夫だろう」と評価されます。

逆に同じ自己資金200万円のケースでも、自分の手持ち資金がゼロで、親から200万円全額支援してもらった場合。
この場合はやはり、全額自分で貯めた人より印象は悪いです。
「ちゃんと準備してきたのか、融資してもこの先大丈夫なのか」と思われてしまいます。

このようなことも自己資金の蓄積過程からわかります。

ただ、勤務先の給料の金額、各家庭や個人の事情があるので貯めるのは大変なことです。
であれば、現在の状況で自分のできる範囲でお金を貯めて、不足するのであれば少し親族にお願いしてみるのもよいかもしれません。最初から親族に頼るつもりではなく、まずは自分の最大限の努力をして準備しましょう。

給料からコツコツ貯めるが理想

上記の項目と関連するのですが、自己資金は毎月の給料から少しずつ貯めていくのが理想的です。
それは、前述したように自己資金には「準備の度合い」という意味があるから。

たとえば、自己資金がないので、一時的に他人から借りた(見せ金)などは認められません。
ほとんどの場合、見破られてしまいます。

親族から援助してもらったお金は自己資金として一応見てはくれますが、自分で貯めたものよりも評価は劣ります。

なので最強の自己資金は「自分でコツコツ貯めたお金」になります。
自己資金は金額だけでなく蓄積過程もポイントなのです。

自己資金は通帳で管理

金融機関がどのように自己資金を審査しているかというと、個人の預金通帳を見て審査しています。
だいたい半年から1年ほどさかのぼって確認しています。

つまり、自己資金の証明方法は預金通帳です。
預金通帳の履歴を見て、自己資金がどのように蓄積されてきたのか、財産状況はどうなのか、毎月の支払い状況など様々な情報を確認しています。

預金通帳に記録がなければ、自己資金をはじめとした財産状況の確認ができません。
せっかく自己資金を貯めたとしても、証明ができなければ自己資金として認められないのです。

その認められない典型が「タンス預金」です。
いくら現金で200万円持ってます。給料から貯めました。
と主張しても通帳に記録がなければ認めてもらえません。

審査する側は「そうは言っても、誰かから借りてきた見せ金では?」と疑ってしまいます。

本当に給料で貯めたのに、タンス預金だったという理由だけで認めてもらえないのは非常にもったいないことです。

給料を振り込みではなく、手渡しでもらっている場合でもそのままにせず、預金口座に入れて証拠を残しておきましょう。

タンス預金をしていた人の事例

私が創業融資のお手伝いをさせていただいたお客様にこんな方がいらっしゃいました。
写真館を開業する男性で、自己資金を貯めていましたが、タンス預金でした。

「タンス預金だと審査に不利になる」というネット上の情報を見て、タンス預金をすぐに自分の通帳に入金しました。
それから、毎月コツコツと通帳にお金を貯めていき、同時に開業の準備をして、約1年後に当事務所にご相談にいらっしゃいました。
日本政策金融公庫に融資を申し込みましたが、スムーズに満額での融資を獲得できました。

仮に、1年前のタンス預金のままで融資の申込みをしていたら、おそらく融資は受けられなかったと推測できます。
タンス預金という絶対的な不利を、1年という期間をかけて克服した事例といえます。

開業業種の経験を積む

続いては開業業種の経験について見ていきます。

経験で評価するのは勤続年数だけではない

開業する業種の経験があるかどうかも、創業融資のポイントとなります。
経験の評価は、その職業の「勤続年数」よりも「経験した内容」の方をより重視しています。

だからといって2,3ヵ月や半年などの短期間では経験としては弱いです。
その職業で開業に必要なことを経験するには、ある程度の期間が必要になるはずです。
経験を積むことも短期間ではできません。

たとえばということで、金融機関に経験が評価されたケースをひとつ挙げてみます。
整体院の開業で融資をご希望されている方でした。

この方の経歴は、業界歴20年以上あり、施術した人数も1万人を超えていました。
前職は介護施設にお勤めでしたが、施設の立ち上げに関わり、立ち上げ後は管理的な立場にいてと、実績はすばらしいです。

制度融資を使ったのですが、面談の際に保証協会の職員から経歴を評価してもらえたとご報告いただきました。

結果は希望通りの融資を受けることができました。

できればテストマーケティング

準備期間中、余力があればテスト販売などにも取り組みたいところです。
副業として売上げを上げ実績をつくるというのもおすすめです。

副業やテストで販売してみて売上げ金額や購入人数などの記録を付けておく。
売上げを振り込んでもらえるなら、通帳に入金してもらうなどをしておくと、これも実績としてアピールできます。
そして、開業に向けて準備してきた証拠にもなります。

テストの結果により開業後のプランも立てられますし、事業計画書を作る時の根拠にもなります。
実績から作られた事業計画書は説得力が違ってきます。
何もない状態から作った事業計画より実現可能性が高そうです。

創業融資においてはプラスのことばかりですので、取り組んでみると良いと思います。

創業計画書でアピール

今までせっかく色々な経験や準備をしても、その内容が審査担当者に伝わらなければ意味がありません。
審査では経験してきたことを伝える必要があります。

融資の面談時に口頭で伝えるというのもひとつですが、面談の時間は約1時間。
この時間の中で全て伝えることは不可能に近いです。
審査する担当者も人間です。口頭で伝えたところで全て覚えている訳ではありません。
なので、創業計画書にしっかり書面に残してアピールしましょう。

たとえば、
○○年〇月 株式会社△△入社
××年×月 同社退社

と書くよりも

○○年〇月 株式会社△△入社
営業部に勤務。〇年には〇万円の売上げを上げる。
業績が評価され課長に昇進、課の業績を10%アップに貢献。

などと具体的に書いた方が自分の実績が伝わりやすくなります。

自分が今までどのようなことを経験してきたのか、いちど振り返ってみると、自身の強みなんかも見えてくる。
そんな効果もあるかもしれません。

借入れをしない

個人的な借入についても注意が必要になります。

カードローン、消費者金融など高金利の借入れを避ける

カードローンなどの借入れは融資審査においてマイナスになります。
残債の金額によってはこれが原因でNGになることもあります。

カードローンなどの返済が開業後の資金繰りを圧迫するのではないか。
既存の返済に事業資金の返済が加わって本当に返せるのか。
貸す側からするとこのようなことが心配になります。

過去にこんなケースがありました。
事業用の支払いをカードローンで行い、その残債が残っている状態で創業融資の相談に見えた方がいらっしゃいました。

知り合いの公庫職員に聞いてみたところ、
「カードローンより先に公庫に来て欲しかった」と言われたことがあります。
要するに、カードローンが原因で融資は難しい。カードローンがなければできたかもしれません。
ということです。

このケースのように、カードローンの残債が多すぎるというのが、当事務所が依頼をお受けできない理由の上位となっています。

安易に金利の高い借入れをしてしまうと、
必要な時に金利の低い事業資金が借りれなくなる、ということが起こります。

借入れがあると必ず否決されるわけではありませんが、無いほうが良いに越したことはありません。
借入れは極力避けましょう。

住宅ローンなどは気にならない

個人的な借入でも住宅ローンや車のローンなどはあまり影響がありません。
住宅などはそもそも借入れをしないと購入できません。
車も現金一括払いはかなり厳しいです。
利息負担も低いです。
このような性質のある借入れに関しては、そんなに問題になりません。

ただ、あまりにも毎月の元金返済額が多いと影響がありそうです。

支払いは期日を守る

自己資金の蓄積と関連するのですが、支払い状況も審査されています。見落としがちな点なので注意しましょう。

「支払うべきものを期日通りにしっかりと支払っているのか」という視点で審査されます。

税金未納は一発アウト

税金の支払い義務があるのに支払っていないような場合、原則として融資を受けることができません。
日本政策金融公庫や信用保証協会が公的機関であるため、このあたりは厳格です。

ただし、法律で認められていて免税になっているときは大丈夫です。

未納でなくても納付期限を過ぎての「期限後申告」した場合も大きなマイナスです。
税金はしっかり期日までに納める必要があります。

定期的な支払いに遅れない

家賃や携帯電話の料金、光熱費、住宅ローンの支払いなど毎月決まった日に支払いがあるものを期日を守って支払っているのか。
これを預金通帳から確認しています。
最低3種類の支払い状況を確認しているそうです。

頻繁に延滞していたりすると「お金の管理がだらしない」と評価されます。
融資しても返済されないのではないかと疑われるわけです。

ただ、人間なので支払いを忘れてしまうことだって当然あります。
そうならないために、できるだけ銀行からの引き落としにしておくとよいでしょう。

支払い状況は通帳の履歴などから証明されるのですが、この証明ができないケースがあるので注意が必要です。
その代表的な例として、公共料金をコンビニで支払っている場合があげられます。
コンビニで支払った証拠の領収書を捨ててしまうと、支払った証明ができません。
コンビニで払った時は領収書を残しておきましょう。

銀行引き落としに変えてしまうのも良いでしょう。

許認可について調べておく

許認可が必要な業種は許認可取得が融資の条件

業種によっては許認可をとらないと営業してはいけない業種があります。
その場合、許認可を取っていないと融資ができません。
(飲食業のように設備がそろわないと許可が取れないような場合は融資後に許可を取って良い)

許可を申請してから下りるまでには時間がかかります。
その間は営業ができません。費用が出ていくばかりです。
営業ができない期間の資金をどうするのか、事前に計画しておく必要があります。

融資ができないので許可が下りるまでは自己資金だけで乗り切るしかありません。
そういう意味でも自己資金の蓄積があると良いでしょう。

さいごに

以上、創業融資の準備方法を見てきました。

開業を考えたら
・自己資金の蓄積
・開業後にも役立つような経験を積む
・支払うものは期日を守って支払う
・お金の管理は通帳で
・カードローンや消費者金融などは使わない
この5つを地道に取り組むことで創業融資の確率は確実にアップします。

さらに、創業計画書で事業の内容や収支計画をわかりやすく説明できれば、怖いものはありません。

創業計画書は融資申込み前に作成しても間に合います。
しかし、自己資金や経験の蓄積には時間がかかります。
厳しい創業期を乗り切るために、資金面の準備もしっかりしておきましょう。