柏市 創業融資 株式会社の役員の決め方も審査に影響がある

柏市 創業融資 株式会社の役員の決め方も審査に影響がある

開業時は融資を受けることができます。
とくに日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は有名ですね。

この新創業融資制度は開業時の形態に関わらず利用できます。
個人事業主、合同会社、株式会社など、いずれの形でも問題ありません。

ただし、その始め方によっては融資審査に影響を及ぼすことがあります。
今回はその中でも株式会社の、しかも役員の決め方にしぼってお伝えしていきます。

役員によっては創業融資に大きな影響があるのです。
注意していただきたい2つのケースを解説します。
少しでもお役に立つ内容であれば幸いです。

自分以外の他の人に役員として入ってもらう

自分以外の第3者に自社の役員として加わってもらう際は気をつけましょう。
このような例はよくあると思いますが、注意していただきたい点があります。

ご自身が公庫で創業融資を受けようと検討しているなら、次の2点を確認しましょう。

1,役員となる人が過去に公庫で金融事故を起こしていないか。
2,役員に犯罪歴がないか。

この2点は聞いておくとよいでしょう。

日本政策金融公庫は第三者の役員も調査する

なぜ、上記の2点を注意しないといけないかというと、公庫は役員についても調べるからです。
前掲した2点のうちどちらかに該当すると融資が受けられなくなることがあるのです。
代表取締役である自分に問題がなくても、役員が原因で融資が否決される可能性がでてきてしまいます。

では、具体的にどのようなケースがあるのか見ていきましょう。

自己の会社を経営している

まず1つ目の例です。
例えば、自分の会社を経営しているAさんが、同時にあなたの会社の役員として登記されるというような場合です。
この場合、Aさんが公庫で借入れをしている可能性があります。
順調に返済できていれば問題ありませんが、もし現在返済が滞っていたり、過去に返済不能になっていた場合、審査に悪影響が出てきてしまいます。

また、ケースバイケースになると思いますが、Aさんが経営する会社の業績が影響を与えることも考えられます。決算状況を見て、経営状況が悪ければ当然マイナスです。

貸す側としては、融資したお金がAさんの会社に流れるのではないか、と考えてしまうわけです。

このような疑念を持たれないよう、事前に確認するなど注意しましょう。

上記の例では会社を経営していることにしましたが、融資を受けているのであればAさんが個人事業主でも同じです。

過去に事業をしていた

では、2つ目の例です。
前掲の例と似ていますが、役員になる人が過去に事業を行っていたというケースです。
ことらも事業を行っていれば法人でも個人事業でも同じです。

たとえば、過去に会社を経営していて数年前に廃業したBさんが、あなたの会社の役員になるという場合です。
この場合もやはり、Bさんが公庫で借入れをしていた可能性があります。
もちろん順調に返済が完了していれば問題ありません。
ただ、次のようなことも考えられます。

Bさんが事業をする過程で返済ができなくなってしまった。
事業をしている最中は返済していたが、廃業する時にすべて返済できなかった。
ということはあり得ます。

上記の2例ともですが、当然公庫にはその履歴が残っています。
データを検索すればすぐ出てきてしまいます。そうなるとマイナス評価は避けられません。

融資申込み前に気づいても

仮に役員に前掲のようなことが発覚した場合でも「役員を外せばいい」と考えられます。
しかし、1度登記してしまうとうまくいきません。
役員の変更をしても「履歴事項全部証明書」に名前が残り続けてしまいます。

したがって、登記してしまった以上融資申込み前に気づいても遅いわけです。
登記する前に役員候補の方に確認するとよいでしょう。

役員登記せずに支援してもらう

第三者を役員にする時の注意点を書いてきました。
どちらかというと役員にすることについてネガティブな印象になってしまいました。

しかし、先輩経営者や事業経験のある人などに、役員として支援してもらえることはありがたいことです。
できればその人たちの力を借りて事業をしていきたい。

また、支援してくれる方に過去の金融事故などの話も聞きにくいこともあるでしょう。

であれば、役員登記以外の方法も考えられます。
たとえば、コンサルタントとして関わってもらう、外部顧問としてアドバイスをもらうなどです。当然報酬は払います。
このようにして力を貸してもらうことも可能です。

本人ではなく妻を代表取締役にするケース

つぎは事業をする本人ではなく、自分の妻を代表取締役にするようなケースです。
実質的な経営者は自分だが、自分自身は融資を受けられないので、妻を代表取締役にして創業融資を申し込む、というようなことです。

例を挙げてみます。

Cさんは飲食業を経営していましたが、数年前に廃業しました。
その際、公庫から融資を受けていたものの返済ができずに焦げ付いてしまいました。
もう一度飲食業を創業し再起を図りたいと考えています。
しかし、過去の返済不能が原因でCさんは公庫から融資を受けられません。
そこで、妻を代表取締役として新会社を作り創業融資を検討しています。
妻は飲食の経験はありません。
妻一人では公庫の面談に対処できないので、自分が財務担当として質問に答える。

というように登記上だけ奥さんが代表取締役であるというものです。
このような場合、融資はかなり厳しいです。

奥さんが事業をするのかが重要

なぜ、上記の例が難しいかというと代表取締役である奥さんが事業を行わないからです。
このことは融資審査の各段階で影響がでてきます。

公庫は代表取締役に質問する

融資の面談では基本的に社長に質問をします。
その際、社長である奥さんが開業する飲食店について何も答えられなかったらどうでしょうか。
(自社の強み、競合の状況、資産状況、仕入れ等の取引先など)
厳しいと言わざるを得ません。

だからといって、実際に経営するのが旦那さんです、と話したとしましょう。
担当者としては何か裏があるのではないか、なぜ旦那さんが社長をやらないのかなど疑念を抱いてしまいます。
そうなると旦那さんが社長をやらない理由を質問されます。
そして、旦那さんが過去に公庫で事故っていることがわかります。
事実が判明すればこれも厳しい結果になるでしょう。

審査は通常の創業融資

しかも、審査自体は通常の創業融資と同じです。

主に以下の3点で審査がされます。

・自己資金
・開業する業種の経験
・事業計画書

上記の例ですと、奥さんは飲食の経験がないため「開業する業種の経験」がとくに問題になります。
経験がない場合は通常よりも審査が厳しくなるのです。
したがって、旦那さんのことが表にでなくても、奥さんの状態ではそもそも厳しいと言えます。

また、奥さんの氏名と住所を公庫のデータベースで検索すると、旦那であるCさんがヒットする可能性があります。そうなるとCさんが返済不能になった履歴がわかり、否決される可能性が高くなります。

さいごに

ここまで、役員が創業融資に与える影響について書いてきました。
審査では代表者本人だけでなく、第三者である役員までもが審査の対象となります。

その役員の状況次第では融資が否決されることもあるのです。

当然何も問題ない方が役員に入れば、それが理由で否決されないでしょう。
それ以上に自分の事業の力になってもらえることはとてもありがたいことです。

ただ注意点として、会社の登記をするまえに過去に金融事故を起こしていないかくらいは確認した方がよいでしょう。

もし事故を起こしていたなら、役員として登記はせずにコンサルタントとして関わってもらうなど、他の方法が取れると思います。

もう一つ自分の代わりに奥さんを代表取締役にする事例も挙げました。
基本的にこの方法はおすすめできません。金融機関をだますことにもなってしまいます。

であれば、奥さんを社長にするのではなく、自分が社長になって公庫の「再チャレンジ資金」を申し込む方が自然です。
ただし、過去の債務が事業に影響を与えないよう整理されている必要があります。
難易度は高く、融資額もでにくい制度なので、そのあたりは理解したうえで「ダメもと」で公庫に相談するとよいでしょう。