柏市 銀行で開業資金の融資を受けた後にやってはいけないこと

柏市 銀行で開業資金の融資を受けた後にやってはいけないこと

銀行で開業資金の融資を受けることができます。
融資を受けるまで苦労をしますが、融資を受けた後も大切です。
融資を受けた後の対応がその後の経営に影響を及ぼすことがあるからです。

どういうことかというと、対応の仕方によって数年後の融資が受けられなくなることがあるのです。
そこで、今回は融資実行後にやってはいけないNG行為をお伝えしていきます。
ここでお伝えすることをしてしまうと次回の融資がうけられなくなることがあるので、ぜひこのNG行為をしないようお気を付けください。

少しでもお役に立つ内容であれば幸いです。

資金使途違反

ひとつめのNGポイントは、融資金を銀行に申し込んだ当初の目的と違うことに使ってしまうことです。
いわゆる「資金使途違反」というものです。

たとえば、新しい業務用の自動車を購入するために200万円の融資を受けたとします。
しかし、実際は自動車を購入せずに日々の支払いに使ってしまった、というようなケースがこれにあたります。

他にも融資を受けて資金的に余裕ができたので、株式や投資信託、不動産といった資産運用にあてる人もいるようです。
このような資金使途違反がばれてしまうと、最悪の場合、一括返済を迫られることがあります。また、信用保証付きの融資で違反をしてしまうと、その状態が解消されるまで保証付きの融資が利用できません。

この「資金使途」は民間の金融機関や日本政策金融公庫の職員など、融資業務を扱う人がとても重視する点です。
なぜかというと、資金使途によって返済方法や返済期間、金利といったものが決まってくるからです。ひいては融資金の回収にも影響がでるので金融機関は必ず確認するわけです。

たとえば、機材の購入で融資を受けたとします。
この場合のような設備資金の融資は長期での返済になります。
利益+減価償却費が設備資金の返済財源となり、銀行は何年もかけて元金を回収します。

また、使途によっては短期で一括返済をするものもあります。
建設業の例を挙げてみます。
建設業は着工時、中間金、完成時に入金がありますが、完成まで数ヶ月かかることもあり、その間材料費や毎月の固定費がいります。
そこで、完成までの仕入れ代や固定費に使う運転資金が必要なので融資を受けます。
このような場合は、数年で返す長期の返済ではなく、売上げの入金があった時にすべて一括返済します。
設備資金とは違い短期間で元金を回収するようになるのです。

というように資金の使い道というのは、返済方法も違ってくるため融資審査においてとても重要な要素になるのです。
融資を受けたら使い道に注意しましょう。

決算関連

ここからは年に一度ある決算に関するNGポイントです。
ここでお伝えすることをしてしまうと業績が良くても融資が受けられない、又は非常に厳しくなりますのでご注意ください。

決算申告をしない

以前、決算期が来ても決算をしない方がいらっしゃいました。
その理由を聞いてみると「決算をしなければ税金を払わなくて済むから」ということでした。
このような場合、当然ですが融資を受けることができません。

なぜかというと、創業融資ではなく通常の融資は決算書がなければ審査自体ができません。
融資審査には決算書が必ず必要です。
決算書の内容で7~8割決まると言われています。
決算書がなければ返済能力はあるのか、いくら貸していいのか、そもそも貸せる相手なのかさえわかりません。

決算は必ず行いましょう。

自分で決算処理をする

株式会社や合同会社といった、法人で起業した場合に要注意です。
法人の決算は個人事業主と比べると格段に複雑です。専門知識がないとなかなかできるものではありません。
料金はかかってしまいますが、法人の方は税理士に任せた方が得策でしょう。

なぜ自分でやらない方がよいか、過去の事例で説明します。
ある法人で決算が終わったのですが、その決算書を社長自らが作っていました。
その決算書を拝見したところ、数字が合わない部分があったのです。
こうなってしまうと決算書自体の信憑性がなくなってしまいます。数字が合わない部分だけでなく他の部分も正しいのかどうかわかりません。
公庫の担当者に確認したのですが「この決算書ではちょっと…」ということで審査にすらなりませんでした。

創業当初は税理士費用を抑えたい気持ちはわかるのですが、その費用を抑えたために必要なときに融資が受けられないのでは本末転倒と言えます。

もちろん必ず税理士に依頼しなければならないということではありません。間違えなければ自分自身で決算を行っても問題はありません。

ただやはり、税理士の印鑑があるのとないのではそれだけで決算書の信頼性はまったく違ってきます。これは法人だけでなく個人事業主も同じです。

期限を過ぎてから申告してしまう

決算や確定申告を定められた期限を過ぎてしまってから行うと融資が難しくなります。
たとえば、3月決算の法人なら5月31日まで、個人事業主なら3月15日までですが、それより1日でも過ぎると審査上厳しくなります。(コロナの期間は指定の書面を出せば問題ありませんでした)。

とくに個人事業主の方は注意が必要です。
確定申告をスポットで税理士に依頼する場合、申告期限が毎年3月15日と決まっているため業務が殺到します。
そのため、一定の時期を過ぎると依頼を締め切る事務所もあります。
期限を過ぎないよう早めに対応をしておくとよいでしょう。

資金の社外流出

資金の社外流出とは少しわかりにくいですが、会社のお金が本業とほぼ関係ないところに使われてしまうことです。
通常の固定費や原材料費等の支払いは問題ありません。

NGの例を挙げてみます。
たとえば、社長が高級車を購入しようとします。
しかし、会社で買うのは良くないと考え、会社から社長に個人的に資金を貸し付けます。
社長は会社からの貸付け金でお目当ての車を買う、といった場合です。

こうしたことをしてしまうと、次回の融資でかなりの悪影響が出てくるのです。
とくに決算書上に出てきてしまうのでひと目でおかしいとわかってしまいます。

銀行に嫌われる勘定科目

上記の例で会社から社長に貸し付けた場合、決算書のどこを見ればわかるのでしょうか。
これは貸借対照表の左側に記載される「役員貸付金」という勘定科目で何かおかしいとわかります。

この科目があると貸す側はこう解釈します。
たとえば、貸借対照表の左側に「役員貸付金 700万円」。右側に「長期借入金1000万円」あったとします。
そうすると融資した1000万円のうち700万円は事業ではなく社長個人に流れている、と見えるのです。
銀行としては事業資金として融資したのに社長が個人的に使っているのでは?と不審に思います。
そのため、銀行は社長を信頼できませんし、またこのような使い方をされたくありません。

役員貸付金が多額にある場合、それが原因で融資を受けられない、又は非常に難しくなることがあります。
常日頃から役員貸付金を増やさないように、会社と個人のお金は分けて管理しましょう。

また、役員貸付金ができてしまった場合はどうしたら解消できるか税理士さんと相談して、少しずつでも減らしていけるとよいです。そのようにして金融機関には貸付金を減らしている姿勢を見てもらうのも一つの方法です。

雑勘定も嫌がられる

勘定科目の話題がでてきたので、他の勘定科目についても触れたいと思います。
以下のような勘定科目が貸借対照表にあると金融機関はとても嫌がります。
「前渡金」「仮払金」「未収入金」「立替金」「前払費用」など。

これらは「雑勘定」と呼ばれています。
この科目は何に使ったお金なのかわからないのです。
資産性がないと判断されれば、その分差し引いて審査されるので、表面上は資産超過だけれども雑勘定を考慮すると実質的には債務超過となることもあります。
そうなると非常に融資のハードルが高くなってしまうのです。

雑勘定をなるべく作らない、あるいは少額でとどめておくようにするとよいでしょう。

この他にも、自社のお金を関連会社に貸し付けることや、知人の会社への出資、貸し付けも資金の社外流出とみられてしまいます。
注意しましょう。

過度の節税

節税のやりすぎも好ましくありません。
節税するということは利益を減らすことになります。
利益が多ければその分税額は増え、利益が少なければ税額は少なくて済むからです。

融資という観点で見ると、貸す側としては高収益をあげている会社に融資がしたいと考えていますし、融資自体もしやすいです。
逆に節税のし過ぎで利益が少ない会社には高収益の会社と比べて融資もしにくくなってしまいます。

これは個人事業主も同じです。

確かに税金を支払うのは嫌ですが、そのために必要な時に必要な額の融資を受けることができなければ本末転倒と言えます。

節税を否定するのではありません。あくまでもやりすぎてしまうと良くないということです。
顧問税理士さんと相談しながらバランスのとれた節税をできると良いと思います。

公的な節税制度

国の制度に節税に適したものが用意されています。
まずはこの2つを利用するのがおすすめです。

小規模企業共済

ひとつめは「小規模企業共済」というものです。
中小機構が運営している小規模企業の経営者のための退職金制度です。
法人だけでなく個人事業主も加入できます。

毎月一定額を積み立ていけるもので、積立額はいつでも変更できます。
月々の掛金は1000円~70000円まで500円単位で設定できます。

掛金は全額所得控除となるので節税効果があります。

積立金全額+利息が退職や廃業時に受け取りが可能です。

現役時に積み立てたお金は節税に使え、引退する時にお金(+利息)が返ってくるということです。
つまり、節税しながら引退後の生活資金を蓄えることができるわけです。

さらに、掛金の範囲内で借入れをすることができます。
資金調達手法の多様化もできるので、強い味方といえます。

ちなみに毎年今までいくら積み立てたのか、現在いくら借りることができるのか通知が届きます。

節税するならまずはこの制度がおすすめです。

経営セーフティ共済

この制度も中小機構が運営しているものです。
取引先が倒産した際に連鎖倒産や経営難を防ぐために作られた制度です。
無担保無保証で掛金の10倍(上限8000万円)まで借入れできます。

掛金は5000円~20万円まで自由に選ぶことができ、掛金は損金にできるので節税効果があります。

掛金は40ヶ月以上納めていれば解約時に全額戻ってきます。

節税しながら万が一の連鎖倒産に備えるわけです。

取引先が倒産した場合、銀行に融資を申し込んでも実行してくれるとは限りません。ですが、この制度は銀行に関係なく掛金の10倍まで借入れができます。
大口の取引先がある場合は入っておくと安心です。

というように節税を考えるなら上記の2つの制度を検討してみるとよいでしょう。

さいごに

以上、融資後にやってはいけないことをお伝えしてきました。

まとめると
・資金使途違反
・決算申告をしない
・決算書の数字が合わない
・期限後申告
・資金の社外流出
・過度な節税

とくに資金使途違反、決算申告をしない、決算の数字が合わない、期限後申告は業績が良くても融資が受けられない可能性が高くなります。注意しましょう。