柏市 女性、若者/シニア起業家支援資金の審査に通る方法とは

柏市 女性、若者/シニア起業家支援資金の審査に通る方法とは

開業時、日本政策金融公庫で融資を受けることができます。
用意された制度の中に、女性や若者、シニア向けの融資制度があります。
「女性、若者/シニア起業家支援資金」という創業融資制度です。
条件に該当する人は基準金利より低い利率で融資が受けられます。

今回はこの「女性、若者/シニア起業家支援資金」制度を使って、融資を受けやすくする方法を解説しました。
少しでもご参考になれば幸いです。

融資制度の概要

女性、若者/シニア起業家支援資金  (令和5年時点)

以下が制度の概要です。(日本政策金融公庫HPより抜粋)

ご利用いただける方

新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方のうち、女性または35歳未満か55歳以上の方

資金のお使いみち

新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金

融資限度額

7,200万円(うち運転資金4,800万円)

ご返済期間

設備資金 20年以内<うち据置期間2年以内>
運転資金 7年以内<うち据置期間2年以内>

利率(年)

女性の方、35歳未満または55歳以上の方は特別利率A(土地にかかる資金は基準利率)。
ただし、以下の要件に該当する方が必要とする資金はそれぞれに定める特別利率。

技術・ノウハウ等に新規性がみられる方[特別利率A・B・C・D](土地にかかる資金は基準利率)

デジタル田園都市国家構想交付金(旧:地方創生推進交付金を含む。)を活用した起業支援金の交付決定を受けて新たに事業を始める方[特別利率B](土地にかかる資金は基準利率)

デジタル田園都市国家構想交付金(旧:地方創生推進交付金を含む。)を活用した起業支援金および移住支援金の両方の交付決定を受けて新たに事業を始める方[特別利率C](土地にかかる資金は基準利率)

担保・保証人

お客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます。

審査に通りやすくする方法

上記のような女性、若者/シニア起業家支援資金ですが、当然審査があります。
この項目では審査に通りやすくする方法を解説していきます。
まず、前提として、審査の重要ポイントからです。

融資審査のポイント

開業時の融資審査で特に重要視しているポイントは以下の3点です。

1、自己資金
2、開業業種の経験
3、事業計画書の内容

以上が特に重要です。
これを踏まえて受けやすくする方法を書いていきます。

1.自己資金の対策

審査において自己資金は特に重点が置かれる要素です。
自己資金をどうすると有利になるのか見ていきましょう。

自己資金の金額を多くする

一例を挙げると、700万円の融資希望額に対し、自己資金が50万円だと融資は無理です。
しかし、同じ700万円という金額でも、自己資金を300万円位持っていると可能性は十分にあります。
融資額に対して自己資金をどのくらい持っているのかのバランスがポイントです。

また、日本政策金融公庫の職員によると、「自己資金を貯めてきた人は、開業にむけてしっかりと準備をしたと評価をしている」とのことでした。
公庫はこの「開業への準備」にも重点を置いています。

そのため、「自己資金を貯める」=開業に向けて準備した努力を、通帳の履歴で客観的に証明できる。
ということになり、創業融資の審査において強力なプラス材料になります。
まずは、自己資金を貯めることが審査を通しやすくするために欠かせない対策です。
自己資金が多ければ、融資額、可能性ともに上がるのです。

資本金=自己資金ではない

ここで注意点です。
資本金がそのまま自己資金となるわけではありません。

たとえばこのようなことがあります。
資本金は50万円だが、通帳に入っている事業用の現金(資本金含む)が150万円あるという場合です。
このケースでは資本金の50万円が自己資金ではなく、資本金を含んだ通帳の残高150万円が自己資金となります。
あくまでも事業用に使う現金がいくらなのか、という視点で評価をします。

したがって、資本金⁼自己資金の場合もあります。
資本金が200万円で通帳残高も200万円というように、事業用の現金をすべて資本金とするケースです。
この場合、自己資金と資本金はイコールになります。

なので、手持ち資金を事業用に使うなら、使う予定の金額すべてを資本金にしてしまった方が良いと思います。
なぜなら、資本金を厚くしておくことで決算書上、財務基盤が強くなるからです。

自己資金の出どころ

自己資金は金額が大事ですが、その出どころも審査の対象となります。
たとえば、通帳の残高が毎月給料を貯めたものであるとベストです。
したがって、毎月少しずつ給料を貯めていくことが最善の対策となります。

そうではなく、「通帳にある現金は全額友人からの支援金です」とか「カードローンで借りてきました」という場合、自己資金としての評価はゼロです。
このように通帳のお金の蓄積過程も大切なのです。

注意点として、自己資金は給料しか認めないということではありません。
例えば、自分が持っていた株式を売却したお金や自家用車を売却したお金などは自己資金として評価できます。

支払うべきものを支払っているか

毎月の光熱費や携帯代、家賃など決まった時期に支払うものを支払っているのか。これも審査の対象です。
支払いが何度も滞っていたりすると、金融機関としては本当に返済してもらえるのか心配になってしまいます。
引き落としにするなど支払い漏れが無いようにするとよいでしょう。

また、税金の滞納も要注意です。
納める義務があるのに納めていない場合、基本的に融資はできません。

証拠を残す

自己資金は証拠があるものしか認められません。
審査では過去半年から1年間の通帳の履歴を見て判断をしています。
通帳に記載のないお金、たとえばタンス預金などは自己資金として認められません。
そのため、給料などの入金履歴と日々の支払いの履歴が確認できるように通帳で管理しておきましょう。
日頃の管理が融資の対策になります。

その他の金融資産

自己資金以外の金融資産があればそれも伝えるとよいです。
株や債権、投資信託など、さまざまあると思いますが審査担当者に伝えましょう。
事業用に使うものではないですが、資産があるということはプラスαになります。

個人的な借入れに注意

住宅ローンや車のローンはさほど問題になりませんが、カードローンなど金利の高い借入れは要注意です。
日本政策金融公庫はこのような性質の借金をとても嫌います。
残高によっては融資を受けられません。
カードローンや消費者金融で借りないことが良い対策です。

CICの異動情報

前項の借入れと関連しますが、公庫はCICという機関で個人の信用情報を見ています。
そこに「異動」という情報があると融資は受けられません。
「異動」とはいわゆるブラックリストと呼ばれるものです。

異動になってないまでも、何回も支払いが遅れたことがある場合も厳しくなります。
過去にクレジットカードや分割払いの支払いが遅れてしまった経験がある方は、ネット上でとれるので見てみるとよいと思います。CICと検索するとホームページがでてきます。

2.開業業種の経験

開業業種の経験も重要な審査ポイントです。
見ていきましょう。

経験で評価するのは勤続年数だけではない

開業する業種の経験がある人の方がない人よりも有利になります。

経験の評価は、その職業を経験した年数などの「長さ」だけではありません。
「経験した内容」についても重要視しています。
だからといって半年や1年などの短期間では経験としては弱いです。

その職業で開業に必要なことを経験するには、ある程度の期間が必要になるはずです。

たとえば、金融機関に経験が評価されたケースをひとつ挙げてみます。
整体院の開業で融資をご希望されている方でした。

この方の経歴は、業界歴20年以上あり、施術した人数も1万人を超えていました。
前職は介護施設にお勤めでしたが、施設の立ち上げに関わり、立ち上げ後は管理的な立場にいるなど実績はすばらしいものでした。

結果は希望通りの融資を受けることができました。

経験を創業計画書で伝える

どんなに経験が豊富でも、その事実が伝わらなければ意味がありません。
審査では経験してきたことを、こちらから伝える必要があるのです。

融資の面談時に口頭で伝えるというのもひとつですが、面談の時間は約1時間程度。
この限られた時間の中で全て伝えることは不可能に近いです。
また、審査する担当者も人間です。口頭で伝えたところで全て覚えている訳ではありません。
そこで、しっかり書面に残して伝えましょう。

たとえば、
○○年〇月 株式会社△△入社
××年×月 同社退社

と書くよりも

○○年〇月 株式会社△△入社
営業部に勤務。〇年には〇万円の売上げを上げる。
業績が評価され営業部課長に昇進、部下の育成とともに課の業績を10%アップに貢献。

などと具体的に書いた方が自分の実績が伝わりやすくなります。

自分が今までどのようなことを経験してきたのか振り返ってみると、自身の強みも見えてきます。
自分の強みを事業のセールスポイントとすれば審査が有利になります。

3.創業計画書の内容

創業計画書の内容も審査に影響します。
創業計画書を書く際に抑えておきたいポイントを解説していきます。

文章はわかりやすく

創業計画書は自分の事業の強みなどが、わかりやすく記載されていると良いです。
内容が分かりにくい計画書を作成しても、審査する側に正しく伝わりません。

だからといって、数十ページもある計画書を作っても、今度はすべて読むことができません。
なので、ポイントをしぼって10~20ページ位にまとめて、審査しやすくしていきましょう。
そのために、最低限必要なものについて書いていきます。

フォーマットを提出

日本政策金融公庫で創業融資を受ける場合、公庫に「新創業融資制度」のフォーマットが用意されています。
このフォーマットの各項目を埋めて提出します。
以下フォーマットの項目を挙げてみます。

1.創業の動機
2.経営者の略歴等
3.取り扱い商品、サービスの内容
4.セールスポイント
5.販売ターゲット・販売戦略
6.競合、市場など企業を取り巻く状況
7.取引先、取引関係等
8.従業員
9.お借入れの状況
10.必要な資金と調達方法
11.事業の見通し
12.自由記入欄

以上を埋めて提出します。

フォーマットの記載事項を別紙で詳しく説明する

公庫のフォーマットを埋めて提出すると書きました。
ですが、フォーマットの記入欄だけでは記載しきれません。
例えば、創業の動機は4行しかスペースがありません。
4行で自分の想いを表現するのは不可能です。
そこで、先に別紙に記載し、各項目の要約をフォーマットに記入する方法がおすすめです。

どの項目を詳しく別の紙に書いていくのか。
当事務所の例を挙げてみます。

前掲した項目のうち
「1」創業の動機、
「2」経営者の略歴、
「4」セールスポイント、
「5」販売ターゲット・販売戦略、
「6」競合、市場など企業を取り巻く状況、
「7」取引先、取引関係
をWordで詳しく書き「創業計画書 補足資料」という題名で提出します。
この補足資料で書いた内容を要約したものを、フォーマットに記載します。

過大な計画にしない

数値的な計画をExcelなどで作成し提出します。
たとえば、当事務所では「売上げ予定表」「損益計画書」「資金繰り表」を作っています。

その際に気をつけることとして売上げの予定を控えめに見積もることです。
絵に描いた餅という印象を与えないようにしましょう。
過去の経験から予定を立てるならば、自分が思うよりも2,3割低い数字で計画するなどが考えられます。

返済可能な利益を出す

損益計画書を作成するときの注意点です。
上記で売上げは控えめにすると書きましたが、同時に利益も出さなければなりません。
返済の原資は、売上げから経費を引いた利益になります。
事業を開始して数か月間の赤字は問題ないですが、ずっと赤字のままでは返済できないことになってしまいます。

売上げは抑えめにしつつ、返済ができる利益を確保する。
このバランスに気をつけて計画を立てるとよいでしょう。

なお、前掲した「11」の事業の見通しは、Excelで「損益計画書」を3年分(36ヵ月)作成します。
その表から開業当初の損益と軌道に乗った頃の損益をフォーマットに記載します。
Excelで作成した「損益計画書」ももちろん提出します。

資金繰り表を作成

資金繰り表も作成できるのであれば、作成したい資料です。
資金繰り表を簡単に言うと「現金の出入りのみ」を計算する表です。
なので、減価償却など実際に現金が出ていってないものはカウントしません。
「いつ現金が入ってきて、いつ出ていくのか」これだけを表します。
これも12ヵ月分の表を作って提出したいところです。

とくにこの資金繰り表があると、会社の資金の流れがわかりやすくなります。
また、審査担当者の頭の中にはこの資金繰り表が常にあります。
そのため、一番重要な書類と言っても過言ではありません。
返済ができることを示せる書類となりますので、ぜひ作りましょう。

見積もりを取る

車両や機材の購入、店舗を借りる場合などは基本的に見積書が必要です。
見積書の金額も損益計画書や資金繰り表に反映させます。
見積書のコピーも日本政策金融公庫に提出します。

以上「自己資金」「開業業種の経験」「創業計画書」この3点が審査の重要ポイントです。
これらに注意して準備をしていくことが融資を受けやすくするための基本的な対策となります。

必ずやらなければいけない条件

ここまで、審査に通りやすくする方法を解説してきました。
ここからは融資を受けるために必ずやらなければいけないことをお伝えいたします。

許認可が必要な業種は許認可を取る

事業を行っていくために許可や認可を取らなければならない業種があります。
飲食業、介護系、運送業などなど。
このような許認可が必要な業種は、許認可を取らなければ融資ができません。
許可の種類によって融資の前に許可が必要か、融資実行後に許可を取ればいいのか違うので、事前に許可条件等を調べておきましょう。

物件を決める

店舗を構えて開業する場合、店舗の場所を決めなければいけません。
融資の申込み時点で具体的な場所が決定している状態です。

申込み時点で物件の賃貸借契約までは必要ないのですが、見積書等は必要です。

物件ごとに契約時の費用や毎月の家賃が違うため、創業計画書の作成にも関わってきます。
同時に、物件の初期費用は高額になるので融資の申込み金額も変動します。
したがって、物件が確定しないといくらで融資を申し込めば良いのかわかりません。

また、融資申し込み後、審査担当者との面談が終わると、審査担当者は現地周辺を見に行きます。
周辺の競合他社や立地状況を確認するそうです。

以上のことから、物件の場所が確定しないと審査自体ができないことになります。
具体的な店舗の場所を決めておきましょう。

法人の場合は法人口座を作る

個人事業の場合は従来の口座が使えるのでとくに問題ありませんが、法人として融資を受ける場合、法人の口座が必要です。
法人口座がないと融資金の入金と返済ができないので、口座を開かなければなりません。

よくあるご相談として、銀行に法人口座を作りに行っても、口座開設に応じてもらえないことがよくあります。その場合、ネット銀行だと口座開設の審査が比較的ゆるいことがあるため、ネット銀行で法人口座を作るのもひとつの案です。

これまで、日本政策金融公庫はネット銀行の口座に入金はしませんでした。
しかし、2023年から徐々にネット銀行にも対応できるようになってきました。
融資の契約時までに法人の口座を開設しておきましょう。

さいごに

ここまで、審査に通りやすくする方法を解説してきました。

なかでも以下のことを対策していただくと有利になります。

自己資金を貯める

自己資金があれば融資額も多くできますし、融資の可能性も向上します。
また、自己資金が多ければ、その分借入額を抑えるという選択もあります。
このあたりは経営判断になりますが、いずれにしても自己資金が多ければ、開業後に良い影響があるでしょう。

開業業種の経験を積む・アピールする

やはり開業する業種の経験が豊富なほど審査には有利になります。
勤務時代の実績や開業後に役立つ能力があれば、創業計画書に記載しましょう。

以上の2つ。
自己資金と開業業種の経験の双方が揃っていて、その他に個人信用情報などに致命的な欠点がなければ、融資の可能性はあるといえます。
自己資金と経験が十分あればチャレンジしても良いでしょうし、そこまでいかなくても、自分は融資を受けられるのか専門家に相談してみるのもよいでしょう。