起業する時に利率が低い融資制度が使えます。
女性の方は1%台で融資を受けることができます。
令和3年度から創設された特例制度を利用することで、今までよりも利息を抑えられるのです。
今回は、女性が起業する時に低い利率で利用できる創業融資制度についてまとめました。
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- この記事では以下の内容に触れています。
- 女性・若者/シニア起業家支援資金の概要
- 2つの制度を使ったときのシュミレーション
- 融資が実行されるまでの流れ
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少しでもお役に立つ内容であれば幸いです。
女性・若者/シニア起業家支援資金の概要
女性が通常よりも低い金利で利用できる融資制度に「女性、若者/シニア起業家支援資金」という制度があります。
これは日本政策金融公庫という政府系の金融機関に用意されている制度です。
この融資制度にプラスして令和3年度から「創業支援貸付利率特例制度」というものが新設されました。
2つの制度を利用することにより、最低でも0,7%利率を抑えて借りることができます。
まずは、各制度の概要をお伝えいたしたいと思います。
女性、若者/シニア起業家支援資金
以下、日本政策金融公庫のホームページの記載を一部編集して概要をお伝えします。
ご利用できる方
女性または
35歳未満か55歳以上の男性で、新たに事業を始める、もしくは事業開始後おおむね7年以内の方が対象。
資金の使い道
新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする資金。
融資限度額
7,200万円(うち運転資金4,800万円)
返済期間
設備資金 20年以内〈うち据置期間2年以内〉
運転資金 7年以内〈うち据置期間2年以内〉
利率(年利)
以下の1〜3の要件に該当しない方 [特別利率A]
※融資後に利益率や雇用に関する一定の目標を達成した場合に利率を0,2%引き下げる「創業後目標達成型金利」があります。こちらは日本政策金融公庫のホームページを参照ください。
1,技術・ノウハウ等に新規性がみられる方 [特別利率A,B,C]
2,地方創生推進交付金を活用した起業支援金の交付決定を受けて事業を始める方 [特別利率B]
3,地方創生推進交付金を活用した起業支援金及び移住支援金の両方の交付決定を受けて新たに事業を始める方
[特別利率C]
なお土地取得資金は基準利率となります。
・担保・保証人
お客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます。
【解説】
上記の制度の解説をしていきます。
利率について
特別利率はA,B,Cと3種類ありますが、各利率の詳細は以下になります。
特別利率Aは基準金利から-0,4%
特別利率Bは基準金利から-0,65%
特別利率Cは基準金利から-0,9%
女性は最低でも-0,4%が適用されます。
条件を満たすことができれば、-0,65%や-0,9%で設定されます。
担保、保証人について
日本政策金融公庫のホームページには「お客様のご希望を伺いながらご相談させていただきます」と記載されていますが、基本的には担保も保証人も不要です。
要するに
「女性、若者/シニア起業家支援資金」を利用すると、通常と比べて最低でも0,4%利率を抑えることができます。
また、令和3年度からはさらに0,3%利率を抑える特例が使えるようになりました。
その特例が「創業支援貸付利率特例制度」という制度です。
以下でその概要をお伝えいたします。
創業支援貸付利率特例制度の概要
ご利用いただける方
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
融資限度額
各融資制度に定める融資限度額
返済期間
各融資制度に定める返済期間以内
利率(年)
各融資制度に定める利率-0,3%
以上が特例制度の概要となります。
【解説】
「女性、若者/シニア起業家支援資金」を利用すると「創業支援貸付利率特例制度」も併用できます。
これにより、今まで以上に利息の負担を軽くすることができるのです。
2つの制度を使ったときのシュミレーション
「女性、若者/シニア起業家支援制度」と「創業支援貸付利率特例制度」を使うとどのくらいの利率になるのか具体的な数字でシュミレーションしてみたいと思います。
具体的な利率
2021年10月時点の利率は以下の通りです。
・基準金利 2,41%
・女性、若者シニア起業家支援資金 特別利率A -0,4%
・創業支援貸付利率特例制度 -0,3%
ということで計算すると
「2,41%-0,4%-0,3%=1,71%」
になります。
つまり、女性は最低でも1,71%で融資が受けられるということです。
特別利率BやCが適用できればさらに抑えることができます。
※基準金利は数ヶ月ごとに見直されるので要注意。
500万円の融資を受けた場合
では、具体的な金額で試算するとどうなるでしょうか。
500万円借りた場合で見ていきましょう。
「500万円×1,71%=85,500円」
と計算できます。
500万円の融資を受けた場合は、85,500円が1年間の利息の支払額になります。
これを12ヶ月で割ると、ひと月当たりの利払いは7125円と試算できました。
ただし、この金額の計算はあくまでも概算です。
実際は元金の返済が進むにつれて、利息の支払い金額は少しずつ減っていきます。
ちなみに、500万円を基準金利の2,41%で借りると年間の利息は120,500円となり、
ひと月の支払いは10,041円です。
基準金利と特例を使った場合で比較すると
「125,00-85,500=35,000」
と試算でき、同じ500万円借りたとしても年間35,000円を節約できます。
節約できた分は広告費に使うなど、利息に支払うよりも有意義な使い道に回すことができますね。
以上のように2つの制度を使うことで、基準金利よりもかなり利息を抑えることが可能になります。
融資が実行されるまでの流れ
今回ご紹介した融資制度を利用するには日本政策金融公庫に融資を申し込む必要があります。
申し込みから融資実行までのおおまかな流れは以下の通りです。
日本政策金融公庫に融資を申し込む
最寄りの日本政策金融公庫の支店に融資を申し込みます。
最寄りというのは「開業する場所」から最も近いということです。
たとえば、自宅が東京都葛飾区で開業場所が千葉県松戸市だった場合。この場合は都内の支店ではなく、松戸支店が申込先になります。
申し込みの際は、借入れ申込書とともに事業計画書や見積書なども提出しましょう。
担当者から連絡がある
申込みをすると、1週間ほどで審査を担当する職員から電話で連絡があります。
その際、面談日の調整や面談当日の持ちものなどが伝えられます。
後日、書面でも通知が来ます。
基本的には電話がありますが、電話なしで書面のみで通知されることも過去にありました。
審査担当者と面談
約束した面談の日になると担当者と面談をおこないます。
面談時間は約1時間ほどです。
ケースによっては長くなることもあります。
面談の内容は事業計画書の内容に基づいて、自己資金、経歴、担当者の気になっていること等さまざまなことを質問されます。
質問されたことには嘘をつかず、淡々と答えていきましょう。
融資の諾否が決定する
面談後、約1週間で融資の諾否が決定します。
支店の案件の混み具合や審査が難航した場合などは1週間以上かかることもあります。
決定すると審査担当者から連絡があり、結果が告げられます。
日本政策金融公庫と金銭消費貸借契約をする
OKがでると金銭消費貸借の契約書が郵送されてきます。
必要事項を記入して指定の送付先に発送しましょう。
融資金が入金される
契約書を送付すると、指定した金融機関の自分の口座に数日で入金されます。
最近の傾向
余談になりますが、この記事を書いている前の週に日本政策金融公庫の職員と話す機会がありました。
現在の融資は普段よりも全体的に(創業融資に限らず)厳しめになっているようです。
理由としては、コロナの影響で融資先が約30万件増と急激に増えてしまったことにあるそうです。
とはいえ、条件が整っている人には融資したいという点は変わらないので、十分に準備していくとよいでしょう。
さいごに
今回は日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」と「創業支援貸付利率特例制度」を利用することをお伝えしてきました。
令和3年度から「創業支援貸付利率特例制度」が新設されたので、女性の方は最低でも0,7%利息を抑えることができます。
この特例制度ができた理由は、令和2年度にコロナの影響などで創業する人が減ってしまったため、創業を後押しするためにできたのだそうです。
もし、融資の必要が出てきた場合はこのような優遇制度を検討してみるのもよいと思います。