日本政策金融公庫の【新創業融資制度】について解説するページです(平成30年度)
新創業融資制度の【ご利用いただける方】について
ご利用いただける方
<次の1~3のすべての要件に該当する方>
1、創業の要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
【解説】
・これから開業する人
・開業してから2期目の決算を終えていない法人
・開業してから2回目の確定申告を終えていない個人事業主
2、雇用創出等の要件
「雇用の創出を伴う事業を始める方」、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」又は「民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」等の一定の要件に該当する方
なお、本制度の貸付金残高が1,000万円以内(今回のご融資分も含みます。)の方については、本要件を満たすものとします。
【解説】
・「雇用の創出を伴う事業を始める方」
正社員に限らずアルバイトやパートを雇用する予定のある方。
・「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」
たとえば、内装会社でお勤めの方であれば同じ内装業で新たに開業するような場合です。
このように、前職と同じ業種での開業は最も多くみられるケースです。
・「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」
たとえば、市区町村で行われている「創業塾」や「創業セミナー」の受講を修了し、証明書の発行を受けた場合などがこれに当たります。
過去のクライアント様で東京都某区の創業セミナーを修了された方の創業融資で、この創業セミナーを修了していたことが融資審査でプラス評価につながったことがありました。
・「民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」
日本政策金融公庫と信用金庫など民間金融機関の2者が協力して融資をするものです。
・「本制度の貸付金残高が1,000万円以内の方については、本要件を満たすものとします」
1000万円以内の融資を希望する場合は前述した条件をクリアしたとみなすわけです。
つまり、1000万円以内の融資であれば雇用をしなくてもいいし、市区町村の創業塾を修了していなくてもいいということです。
3、自己資金要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方
【解説】
これから開業する方、1期目の決算を終えていない人は開業に必要な資金の10分の1以上自己資金がないと融資ができません。
逆にいうと、開業して1期目の決算を終えれば、10分の1以下の自己資金でも良いということもできます。ですが、実際は1期目の営業実績を見ての判断になるわけです。
あまりにも営業実績が悪ければ融資は難しいという判断になります。
「確認できる方」という文言がありますが、これは自己資金の証拠を求めています。代表的なものが預金通帳です。
確認できないものの代表が「タンス預金」です。現金があってもその出どころを証明できないので基本的に自己資金として評価されません。
ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、本要件を満たすものとします
【解説】
・開業する業種と同じ業種での勤務経験がある方と、創業塾などを修了した方は自己資金が10分の1なくてもよいということです。
上記の規定だと極端な話、自己資金が0円でも500万円融資が受けられることになります。
しかし、実際の審査では自己資金はとても重要なポイントであることに変わりはありません。
この規定があることによって、申込みができる間口が広がりますが実際に融資できるかといえば難しいわけです
土俵に上がるのと、実際に勝負できるのかは別物ということです。
新創業融資制度の【資金の使いみち】について
資金のつかいみち
事業開始時または事業開始後に必要となる事業資金
【解説】
事業用の運転資金と設備資金が使い道となります。
事業用以外の使用目的で融資は受けられません。
たとえば、融資金を事業用ではなく株式投資の資金に使ったり、住宅の購入資金にあてることはできません。
このようなことをした場合は金融犯罪になります。
新創業融資制度の【融資限度額】について
融資限度額
3,000万円(うち運転資金1,500万円)
【解説】
設備資金、運転資金の合計で3000万円まで申し込むことができます。
当然のことながら、だれでも3000万円まで融資が受けられるわけではありません。
あくまでも、その人の事業に必要な金額だけを融資するものです。
新創業融資制度の【返済期間】について
返済期間
各種融資制度で定めるご返済期間以内
【解説】
7年以内の返済期間を設定することが多いです。
たとえば、こんな設定の仕方をよくします。
7×12ヵ月=84ヵ月
6ヵ月の据置期間を設定すると84ヵ月-6ヵ月で78回返済となります。
500万円借りていたとすると
500万円÷78回=毎月返済額約6万4千円というようになります。
プラスして利息を支払うことになります。
新創業融資制度の【利率】について
利率(年)
平成30年8月24日現在の利率は以下のとおり
基準 利率 |
特別 利率A |
特別 利率B |
特別 利率C |
特別 利率E |
特別 利率J |
特別 利率P |
---|---|---|---|---|---|---|
2.26 ~ 2.85 |
1.86 ~ 2.45 |
1.61 ~ 2.20 |
1.36 ~ 1.95 |
0.86 ~ 1.45 |
1.21 ~ 1.80 |
2.06 ~ 2.45 |
新創業融資制度の【担保・保証人】について
担保・保証人
原則不要
【解説】
担保や保証人がなくても融資を受けることは可能です。
日本政策金融公庫では原則として連帯保証人を要求していません。
(ひと昔前は当たり前のように要求されました)
創業に限らず日本政策金融公庫の無担保での融資は全体の82.9%を占めており、担保付きの融資は20%に満たないものとなっています。
もちろん、担保があった方が融資の審査において有利になりますが、担保があるからといって必ず融資が実行されるわけではありません。
担保付きで融資をしても、実際に返済されないと困るわけです。
したがって、返済の見込みがないのであれば、いくら担保を提供しても融資は厳しくなります。