創業を目指す方にとって、最初の大きなハードルの一つが「資金調達」です。
特に、自己資金だけでは事業を立ち上げるのが難しい場合、融資制度を活用することが重要な選択肢となります。
しかし、どの制度を使えばよいのか、どの段階で申請すべきかといった点に悩む方は少なくありません。
中でも、よく耳にする「マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資)」は、金利が低く、無担保・無保証人で利用できる魅力的な制度ですが、実は創業前の方は利用できないという落とし穴があります。
マル経融資は、すでに事業を始めており、かつ6ヵ月以上にわたって商工会議所などの経営指導を受けていることが前提とされています。
松戸市においてもこの点は例外ではなく、創業予定の方がマル経融資を希望しても、条件を満たさないために利用できないケースがほとんどです。こうした誤解により、融資のタイミングを逃してしまう方も見受けられます。
そこで本記事では、創業時に利用できる他の融資制度と、行政書士の視点から見る申請時のポイントについて、松戸市の事例を交えながらわかりやすく解説していきます。
松戸市でマル経融資を受けられない理由とは
創業時の資金調達を検討する際、「マル経融資」という言葉を目にした方も多いでしょう。
これは、小規模事業者向けに用意された、非常に有利な条件の公的融資制度です。
ところが、松戸市を含め、全国的にこのマル経融資は「創業前の方」には利用できない制度であることをご存じでしょうか。
ここでは、マル経融資の基本情報と、創業者がなぜ対象外になるのかについて解説します。
マル経融資の概要と対象者の条件
マル経融資(正式名称:小規模事業者経営改善資金融資)は、商工会議所や商工会の経営指導を6ヵ月以上受けている小規模事業者が対象の融資制度です。主な特徴は以下のとおりです。
- 無担保・無保証人での融資が可能
- 利率が他の融資制度に比べて低い
- 商工会議所等が経営指導を行う
対象となるのは、商業・サービス業では常時使用する従業員が5人以下、製造業・その他では20人以下の事業者であり、原則としてすでに事業を営んでいることが条件です。
創業者が対象外となる背景と要件
マル経融資を受けるためには、まず「経営実績」が必要です。
そして、商工会議所などで6ヵ月以上の経営指導を受けているという実績も求められます。
創業前の段階では、当然ながら「経営指導を6ヵ月受ける」ための事業実態がないため、この条件を満たすことができません。
また、マル経融資は事業改善や拡大を目的とした資金支援制度であり、「これから始める」事業に対するリスクを制度的に想定していないという側面もあります。そのため、松戸市の創業者であっても、創業前にはこの制度を利用することができず、別の創業支援制度を検討する必要があります。
松戸市で創業時に利用できる融資制度
マル経融資が創業前に利用できないことはすでに説明したとおりですが、松戸市で創業を目指す方にも利用可能な公的融資制度は存在します。
主に「日本政策金融公庫の創業融資」と「信用保証協会を通じた創業支援制度」があり、いずれも創業間もない事業者や、これから創業する方を対象としています。
それぞれの特徴を理解し、自分の事業計画に最適な制度を選ぶことが、資金調達成功のカギとなります。
日本政策金融公庫の創業融資とは
日本政策金融公庫(通称「日本公庫」)は、政府が100%出資する金融機関で、創業者支援に力を入れています。「新規開業・スタートアップ支援資金」など、創業者向けの融資メニューが豊富に用意されている点が特徴です。
この制度では、以下のような要件を満たすことで、無担保・無保証人でも融資を受けることが可能です。
- 創業計画が明確で、実現可能性が高いと評価されること
- 自己資金を準備していること
- 開業業種の経験があると有利
金利は比較的低めに設定されており、返済期間も長期で対応されています。松戸市の創業者にとっても、最初の選択肢として非常に有力な制度です。
信用保証協会の創業支援と保証制度
もう一つの主要な選択肢が「信用保証協会」の創業支援制度です。
信用保証協会は、地方銀行や信用金庫などの金融機関からの融資に対して“保証人”の役割を果たす公的機関でです。
具体的には、「創業関連保証制度」や「スタートアップ創出促進保証」などの制度があり、創業前後の事業者が利用可能です。松戸市を管轄する千葉県信用保証協会の審査を通過することで、金融機関から融資が受けられます。
創業者がこの制度を利用するには、まずは事業計画をしっかりと練り上げ、民間金融機関に申し込むという流れが一般的です。金融機関の支店内で協議にかけられた後、信用保証協会に案件があげられます。
行政書士が解説する融資申請のポイント
融資申請においては、「どの制度を使うか」だけでなく、「どのように申請するか」も結果を左右する重要な要素です。
特に創業融資では、事業実績が乏しい分、計画性や信頼性が重視されます。ここでは行政書士の視点から、成功する融資申請のための実践的なアドバイスをご紹介します。
書類準備と面談対策の実践アドバイス
創業融資で最も重要な書類が「創業計画書」です。
この書類には、事業の内容、収支計画、自己資金の割合、必要資金の使い道などを明確かつ具体的に記載する必要があります。
審査担当者が事業の可能性を判断する重要な材料となるため、記述は丁寧に、かつ現実的に仕上げましょう。
また、面談では担当者から事業の特徴や運営方針について詳しく質問されます。
準備不足のまま臨むと、「本当に実現可能なのか」という不信感を持たれ、審査に悪影響を及ぼします。
行政書士としてのアドバイスとしては、面談前に第三者(できれば専門家)に事業計画を説明してフィードバックを受けることをおすすめします。
よくある失敗例とその対策
創業融資でよくある失敗例には以下のようなものがあります。
- 自己資金が不足している:総資金の20%~30%程度は自己資金として求められることが多いため、貯蓄や親族からの支援で一定額を確保しておく必要があります。
- 計画書が抽象的で根拠が乏しい:売上予測が過大だったり、収支見込みが希望的観測に基づいていると、審査に通りにくくなります。根拠ある数字と、売上に至る具体的な戦略を盛り込みましょう。
- 必要資金の使途が不明確:融資を受けて何に使うのかが不明確だと、「資金使途が不明」と見なされる可能性があります。設備費、人件費、広告費など、使い道を明確に記載することが大切です。
これらのポイントを押さえて準備を進めることで、創業融資の成功率は大きく向上します。必要に応じて、行政書士に事業計画のサポートや面談対策の相談をするのも有効な手段です。
創業成功事例紹介
実際に創業融資を受けて事業をスタートさせた方々の事例を見ることで、制度の活用方法や成功のポイントがより具体的に理解できます。ここでは、創業融資を活用したケーススタディと、支援機関との連携が成功の鍵となった事例を紹介します。
実際に創業融資を受けたケーススタディ
柏市で整体院を開業したAさん(30代男性)は、自己資金が100万円程度と限られていたため、日本政策金融公庫の「新規開業資金(当時)」を利用しました。
事前に綿密な事業計画書を作成し、収支の見込みやターゲット客層についても具体的に説明できたことが高く評価され、300万円の融資が実行されました。
融資は、初期の広告費のほか諸経費支払いといった運転資金のほか、不意の事態に対する余裕資金で実行され、無事に開業。
現在ではリピーターを中心に着実に売上を伸ばしています。Aさんは「開業自体は自己資金だけでもできたが、融資によってゆとりを持って開業することができた」と語ります。
行政書士との連携が鍵となった事例
Bさん(30代男性)は、松戸市内で軽貨物の会社を1年経営しました。自己資金のみで開業したため、売上げはあるものの経費の支払い等で資金が不足、赤字決算でもあり事業を伸ばしたくても伸ばせない状況でした。
当初は融資を受けられないのではないかと、ご自身では判断されていましたが、当事務所に相談したことで大きく状況が変わりました。
ヒアリング内容から融資の可能性はあると判断。私と一緒に事業計画書を練り、今後の収益計画や競合との差別化ポイントを明確にすることで、日本政策金融公庫からの評価も向上。新規開業資金(当時)で融資を受けることができました。
Bさんは「資金ができ外注先への支払いも余裕ができました。今では月商が2倍になっています」と語っており、今後の事業拡大にも意欲的です。
このように、松戸市では公的制度を上手に活用することで、創業時の資金調達を成功させている例が多数あります。
まとめと結論(松戸市で創業を目指す方へ)
松戸市でこれから創業を考えている方にとって、資金調達は避けて通れない課題です。
特にマル経融資は魅力的な制度ですが、「創業前」は利用できないという明確な制限があるため、誤解してしまう方も少なくありません。
その一方で、日本政策金融公庫の創業融資や、信用保証協会の保証付き融資といった創業者向けの制度は、しっかりと準備すれば十分に活用可能です。
重要なのは、自分の事業に最適な制度を見極め、早い段階から準備を始めることです。
事業計画の作成、自己資金の準備――これらを丁寧に進めることで、融資の成功率は大きく高まります。さらに、専門家のサポートを受けることで、より確実な融資が可能になります。
松戸市では商工会議所や行政書士など、創業を支援する体制が整っています。「わからない」「不安」と感じた時には、早めに相談することが、安心して一歩を踏み出す第一歩となるでしょう。
行政書士に相談する理由とお問い合わせ情報(松戸市エリアに対応)
創業時の融資申請や事業計画の作成は、慣れていない方にとって非常にハードルの高い作業です。
必要な書類の種類や記載方法、審査に通るためのポイントなど、少しのミスや見落としが大きな不利益につながることもあります。そんな時に心強い味方となるのが「行政書士」です。
融資に強い行政書士は、融資申請書類や事業計画書の作成をはじめとする、融資獲得支援を専門とし、申請者の状況に合わせた適切なサポートをしています。松戸市での地域特性や支援制度にも精通しているため、創業支援に特化したご支援が可能です。
また、面談対策や日本政策金融公庫・信用組合との連携支援も行っており、金融機関との協力関係を築くことで融資の実現可能性を引き上げる役割を果たします。
【松戸市エリアで行政書士に相談したい方へ】
- 創業融資を検討しているが、何から始めればいいかわからない
- 事業計画書をどう書けばよいか悩んでいる
- 創業融資に失敗したくない
こうした悩みをお持ちの方は、ぜひ行政書士にご相談ください。
初回相談は無料で対応しているため、まずは気軽にお問い合わせいください。