創業融資で家族からの資金提供は自己資金として認められる?公庫の基準を解説

創業融資で家族からの資金提供は自己資金として認められる?公庫の基準を解説

創業融資を検討している方からよく寄せられる質問の一つが、「親や配偶者から出してもらったお金は、自己資金として見てもらえるのでしょうか?」というものです。

特に日本政策金融公庫の創業融資では、自己資金の有無やその内容が審査に大きく影響します。
十分な貯蓄がない中で、家族からの支援を受けて創業するケースは珍しくありません。
本記事では、創業融資における「家族からの資金提供」が、どのような条件で自己資金として評価されるのかを、実務の視点から詳しく解説します。

結論:創業融資では家族からの資金提供も自己資金として認められる

創業融資においては、家族からの資金提供であっても、基本的には自己資金として認められる傾向があります。配偶者からの資金はもちろん、親からの資金提供についても、日本政策金融公庫の実務では否定されるものではありません。
重要なのは、その資金が「見せ金」ではなく、事業に投入し、自由に使える資金であると説明できるかどうかです。

解説:日本政策金融公庫が自己資金で重視している考え方

日本政策金融公庫の創業融資では、自己資金の金額と同時に、「どのように準備してきたか」が重視されます。自己資金とは、単に名義が本人である預金ではなく、事業に対する準備具合や責任を自ら負っている資金と考えられています。

この考え方からすると、配偶者からの資金提供は、家計を一体として判断されることが多く、自己資金性が高いと評価されます。

また、親からの資金提供についても、実務上よくあるのが「親から資金を出してもらい、事業が軌道に乗って利益が出たら、無理のない範囲で少しずつ返す」というケースです。
このような資金は、銀行借入のように毎月決まった返済義務があるわけではないため、自己資金として認められる傾向があります。

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よくある誤解:親から借りたお金はすべてNG?

創業融資の相談現場でよくある誤解が、「親から借りたお金は借入金なので、自己資金にはならない」という考えです。確かに、金銭消費貸借契約書を作成し、返済期限・利息・返済方法が明確に定められている場合、その資金は負債と評価され、自己資金性は低くなる可能性があります。

しかし実務では、親からの資金提供が必ずしも厳密な借入金として扱われているとは限りません。
返済時期が未定であったり、「余裕ができたら返す」という程度の合意であったりする場合には、実質的に贈与に近いものとして見られることもあります。
書面があるかどうかだけでなく、返済の現実性や拘束力の強さが重要な判断要素になります。

実務での注意点:通帳管理が審査に影響する

創業融資で家族からの資金提供を自己資金として評価してもらうためには、通帳の動きが非常に重要です。日本政策金融公庫では、面談時に通帳の提出を求められ、過去数か月から1年程度の入出金履歴を確認されることが一般的です。

注意すべき点は、誰からの入金かわからないケースです。この場合、「親からとは言っているが証拠がない」「見せ金ではないか」と疑われやすくなります。
家族からの資金提供であっても、口座間の資金移動により親からの振込みだと証拠が残っている必要があり、入金の経緯についても合理的に説明できる準備が必要です。

また、「贈与なのか」「軌道に乗ったら少しずつ返すつもりなのか」といった点について、面談で一貫した説明ができないと、評価が下がる可能性があります。
あいまいな説明は避け、事前に考えを整理しておくことが重要です。

創業融資における専門家のサポート内容

創業融資に強い行政書士や税理士などの専門家は、家族からの資金提供を含めた自己資金の整理・説明をサポートできます。具体的には、通帳履歴のチェック、自己資金としての説明ストーリーの構築、面談での受け答えに関する助言などが挙げられます。

特に日本政策金融公庫の創業融資では、「数字」と「説明」の整合性が重視されます。
自己資金の内容に少しでも不安がある場合、事前に専門家と一緒に整理しておくことで、審査をスムーズに進められる可能性が高まります。

まとめ

創業融資において、家族からの資金提供は、配偶者・親いずれの場合でも、基本的には自己資金として認められる可能性があります。

実務では、「親から資金の提供を受け、利益が出たら少しずつ返す」という形も珍しくなく、適切に説明できれば否定されるものではありません。ただし、通帳の管理や入金時期、説明の一貫性といった実務上のポイントを押さえることが重要です。創業融資の成功率を高めるためにも、早めに専門家へ相談し、万全の準備を進めることをおすすめします。

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