開業資金の融資を受ける際、履歴書を提出するのでしょうか?
実務上、どうなっているのか書きました。
少しでもお役に立つ内容であれば幸いです。
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- この記事は以下の内容で構成しています。
- 過去の経歴は明らかにする必要がある
- 過去の経験は審査の重要ポイント
- どのようにアピールすれば良い?
- 真実かどうか調べるのか?
- 自分の棚卸から
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過去の経歴は明らかにする必要がある
銀行などから開業資金の融資を受ける場合、「履歴書」は提出しません。
履歴書は提出しませんが、自分の経歴を事業計画書に書いて提出する必要があります。
理由としては、金融機関はその人がどのような職業で働いていたのか知りたいからです。
なぜ知りたいかというと、前職と同じ業種で開業する人の方がまったくの異業種で開業する人よりも成功しやすいと判断しているからです。
そのため、過去の経歴も審査の重要な基準となります。
開業する業種の経験がある→事業が成功しやすい→融資をしてもしっかり返済してもらえる、
ということですね。
過去の経験は審査の重要ポイント
創業融資では「開業業種の経験」が審査の対象となります。
どのような点が審査で重要なのか見ていきます。
開業する業種の経験があると有利
開業する業種での勤務経験があると審査にプラスとなります。
勤務経験がない人よりも、ある人の方が業務の内容を知っているため、事業がうまくいきやすい、と評価されます。
金融機関としても事業が成功する可能性の高い人に貸したいです。
また、日本政策金融公庫の融資先を調査した資料によると、
勤務経験がない人はある人よりも返済できなくなる確率が高い、という調査結果がでました。
この調査結果からも、勤務経験があり返済の可能性がある方が有利になることがわかります。
勤務年数より実績
開業業種の経験で大事なのは年数よりも、勤務時代の実績です。
勤めた期間よりも、「勤務期間に何を経験した」のか。
これが審査のポイントであり、審査担当者が知りたい思っているところです。
何を経験したのか、自分の強みは何なのかをアピールしましょう。
自身の経験は事業計画書に記載して、担当者が読めるようにしていくと良いです。
実績重視といっても、勤務期間がまったく関係ないかといえばそうではありません。
1,2年ではやはり短いわけです。
勤め先である程度の技能や知識を身につけるには、どうしても一定の時間は必要になります。
そのうえで、勤務時代にどんな経験をしてきたのか、開業の準備はどのくらいしたのか、が審査で重要になるのです。
勤務経験がないから融資しないではない
開業業種の経験があると、融資に有利と書きました。
しかし、勤務経験がないからといって必ずしも融資しないわけではありません。
経験がなくても融資はします。
ただし、大きな金額は出にくくなったり、審査が通りにくいなど、不利な部分は出てきてしまいます。
経験がないことに加えて、自己資金も少ないとなると、融資はかなり厳しくなります。
経験が少なければ、自己資金を多く。
自己資金が少なければ、自己資金不足を補う経験が必要です。
どのようにアピールすれば良い?
さて、金融機関に自分の経歴を伝える必要があるわけですが、伝え方によっては融資に影響を及ぼすことがあります。
例えば
平成〇年 ××株式会社入社
平成〇年 ××株式会社退職
平成〇年 株式会社△△入社
などのように一般的な経歴書のように書いて融資を申し込むのはおすすめしません。
これではその会社に在籍していたことは分かりますがそれ以外のことは読み取れません。
金融機関が経歴を書かせることの目的は、その人がどんな経験をしてきたか知りたいからです。
なので、どんな経験や実績があるのかまで記載していく必要があります。
とくに日本政策金融公庫の創業計画書では記載できるスペースが限られています。
そのため、別紙に書いて添付資料として提出するとよいでしょう。
経歴の書き方の例
例えば整体院を開業する方なら以下のように書くことができます。
20××年 ○○整体院 入社
5年間で累計△△千人の施術を行う。後輩への技術指導や店舗の運営管理も学ぶ。
20×△年 ○○整体院 △△店の店長を任される
リピーター対策の強化を行い、店舗の売上げを10%向上させた。
というように、何を経験したのか、自分の強みは何なのかをアピールしましょう。
数値や具体的な名称を入れると説得力が増します。
真実かどうか調べるのか?
自身の経歴を事業計画書に書いて提出しました。
では金融機関はこれを真実かどうか調べるのでしょうか?
基本的に勤めていた職場に確認するということはありません。
だからといって嘘を書いてよいわけではないので、正直に書きましょう。
とくに日本政策金融公庫の面談では過去の経歴について詳しく質問されることが多いです。
実際に働いていたのであれば、どのような質問にも答えられます。
質問への回答によっても真実性を判断できそうです。
自分の棚卸から
私が融資をお手伝いさせていて、たまにもったいないなと思うことがあります。
それはご自身の強み、セールスポイントを把握されていない時です。
ご本人は当たり前のように思っているのですが、他人からみると実は素晴らしい能力や実績をお持ちの方がいらっしゃるのです。
創業融資ではご自分の能力や実績を金融機関に伝えなければなりません。
ですが、自分のことを把握するのは難しいため、金融機関に伝えきれないということがおこってしまいます。
これは非常にもったいないです。
当然、融資に影響がでることも想像できます。
そうならないために、まずは自分自身の棚卸から始めてみるといいかもしれません。