開業準備中の方からよく寄せられる質問が「開業届を提出していない状態でも融資を申し込めるのか?」というものです。
特に、日本政策金融公庫の創業融資や金融機関からの調達を検討している人にとっては、開業届の有無が審査に影響するのか気になるポイントです。
さらに、そもそも融資が受けられないと設備投資や店舗契約ができず、開業届すら出せないというケースも少なくありません。この記事では、その仕組みを整理しながら分かりやすく解説します。
回答の結論
開業届がなくても融資申請は可能です。
特に「融資がなければ開業できない」ケースは制度として想定されており、開業前の段階で問題なく申し込むことができます。ただし、事業の実現性を示す資料が求められる点には注意が必要です。
解説
開業届は税務署への届出書類で、事業開始後1か月以内が提出目安ですが、未提出でも罰則はありません。
また、公庫の創業融資制度では「これから開業する人」や「開業後間もない人」を対象としており、開業届の提出そのものは申請条件ではありません。
むしろ、店舗契約・設備購入・仕入の資金が確保できないと事業が開始できないため、融資を受けて初めて開業届を提出できる人が多数を占めます。そのため、開業届がない状態での申し込みは想定済みです。
ただし、開業届がない場合は事業準備の実態を示すため、次のような書類が求められます。
- 事業計画書
- 見積書(設備・内装・仕入など)
- 店舗物件の資料(申込み書・賃料条件など)
- 開業スケジュール
- 自己資金の根拠資料
- 事業の実現性を示す証跡
開業届は形式的な書類ですが、あることで「開業意思が固まっている」と判断されやすく、審査をスムーズにする効果はあります。
よくある誤解
「開業届がないと融資は絶対に受けられない」という誤解は根強いですが、実際には制度上そういった制限はありません。
また、「開業届を出した瞬間から税金が発生する」という誤解もありますが、実際には利益が出て初めて課税対象となります。
実務での注意点
開業届がない場合、融資担当者から「いつ開業するのか」「準備はどこまで進んでいるのか」を詳細に確認されやすいため、スケジュールや準備資料を揃えておくことが重要です。
また、開業届と同時に提出する青色申告承認申請書を忘れると、節税メリットの大きい青色申告が適用されないため注意が必要です。
士業としての支援内容
行政書士は、事業計画書の作成サポート、融資面談対策など融資獲得を総合的にサポートできます。
特に創業融資は書類の完成度や説明力が審査に大きく影響しやすいため、専門家のサポートによって通過率や金額が大きく向上することがあります。
補助金制度の併用や必要な許認可の確認なども含め、開業前後の不安をまとめて相談できます。
まとめ
融資がないと開業自体ができないケースは一般的であり、開業届がない状態での融資申請は問題なく可能です。ただし、事業計画の具体性と証憑資料の準備が重要となるため、早い段階で計画を固め、必要であれば専門家に相談しながら進めると安心です。
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