松戸市 公庫の創業融資事例【自己資金が親からの贈与だったケース】

当事務所でご支援させていただいたお客様の創業融資事例です。

概要

業種的に多額の資金を必要とする業種であった。融資希望額に対し純粋な自己資金は少なく、自己資金のほとんどは親族からの贈与だった。
事業を開始するために陸運局の許可が必要だったが、許可が下りるまで数ヶ月かかるため、許可申請中に融資を申し込んだ。結果的に満額で創業融資を受けることができ、ご本人達の努力により、開業初月から計画を上回る売上げを達成した。

属性

株式会社
運送業を開業する40代前半の男性

ご相談時の状況

・運送関係の事業を開業するお客様。
・開業当初から4∼5人雇用することや車両複数台(リース)、その他の諸経費が多額になるため運転資金が必要となった。
・純粋な自己資金は少なく手持ち資金のほとんどは親族からの贈与だった。自己資金が贈与の状態で融資を受けられるのか不安、ということでご相談に。

融資における問題点

・純粋な自己資金はほとんどないが、親族から1,000万円以上の贈与を受けていた。多額の贈与が自己資金として認められるのかどうか。(運送業の許可条件は厳しいため多額の資金が必要になる。そのため親族から支援を受けていた)

・入金サイトも2ヶ月と長く、人件費や車両のリース料、その他の固定費が毎月かなりかかるので多めの融資が必要。

解決方法【解決までの流れ】

現状と今後の展望をヒアリング

ご本人からお話をお伺いしたところ「十分に可能性はある」と判断した。
理由は以下の通り。

1,開業する業種の経験が14年あるため、経験は十分だったこと。
2,勤め先で担当していたクライアントの一部を引き継ぐことができるため、開業当初から売上げが立つこと。
3,消費者金融やカードローンの借入れがなかったこと。
4,親族からの金銭支援は基本的に自己資金として扱われること。

日本政策金融公庫の職員と協議

弊所を担当している都内の日本政策金融公庫の職員Aに、今回の状況を説明する。同時に親族からの多額の贈与は自己資金になるのか一応確認。
贈与はとくに問題はなく、純粋な自己資金も含めて欲しいということだった。

事業計画書を作成

前職から顧客が引き継げるので、開業当初から売上が立つことを顧客となる企業の具体名を示して説明。
そのことをもとに事業計画書を作成し、十分に返済ができることを示した。

日本政策金融公庫に融資を申し込む
申し込みの翌週、日本政策金融公庫の面談

面談に同席(上記で確認した職員とは別の支店)
この時、担当者Bから「贈与税が多額になり、資金ショートするのでは?」と指摘を受ける。

最初に協議した公庫職員Aと再び協議

贈与税の指摘に対して「完全な贈与ではなく親からの借入れにして、事業が軌道に乗ったら少しずつ返す」としても自己資金に問題がないか職員Aに確認。それでとくに問題ないとのことだった。

その後ご本人に贈与ではなく、上記のような借入れという形にすることを担当者Bに電話をしてもらう。

融資が決定

無事に満額の融資が決定した。月曜日に面談し、同じ週の金曜日に決定。

融資が実行される

運送業の許可取得後、融資の実行となった。

融資の申込みは許可申請中に行った。
今回は許可が下りるまで3ヶ月と時間がかかるものだったため、このような場合は許可申請と同時に創業融資を申し込むことになる。(業種や許可の要件によっては融資を先に受けて、許可を事後確認でする場合もある)

結果

・日本政策金融公庫で希望金額の融資に成功。
・スタッフの雇用もするため1%台の利率となる。
・前勤務先から顧客を引き継いだこと、さらに社員を含めたご本人達の努力により、初月から計画を上回る売上げを達成。

【作成・提出資料】

・創業計画書(日本政策金融公庫のフォーマット)
・創業計画書の補足資料(事業の内容等を詳しく文章で書いたもの)
・売上げ計画書(直近1ヵ月の売上をもとに36ヵ月分作成)
・損益計画書(36ヵ月分)
・資金繰り表(12ヵ月分)
・請求書(売上げが作れることの証拠として提出。引き継いだ顧客からすでに受注していた。他の車両会社に登録し一部営業をはじめていた)

【今回のアピールポイント】

・勤務先の顧客を引き継げるため、売上げの確保ができることを創業計画書に記載し説明。
・ご本人の経歴と勤務時代の具体的な実績。
・顧客の具体的な社名リストを創業計画書に示す。
・入金サイトが2ヶ月あり、開業後数ヶ月は資金繰りがマイナスなので、多めに資金が必要なことを説明(資金繰り表を用いて)

今回のポイント

・親族からの資金支援が多額にあった。(これがなければ許可も融資も受けられず、事業自体始められなかった)
・ご本人の開業業種の経験と実績が豊富。
・消費者金融での借り入れや公共料金などの定期的支払いの遅れがなかった。
・開業時から売上げを作れる根拠があった。
・ご本人が事業計画書の内容をしっかり理解され、面談での質問にも受け答えができた。

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