創業期の融資にはどのような手法があるのでしょうか。
借入れの方法はいくつかありますが、
今回は、どれがおすすめの手法なのか書いてみました。
創業融資は主に2種類
「融資」と一言でいってもその手法は何種類もあります。
どのような融資方法があるのでしょうか?
一例を挙げてみます。
借入れ方法
・親・兄弟・親族から借りる
・ノンバンクから借りる
・民間の金融機関からのプロパー融資を受ける
・日本政策金融公庫の融資
・信用保証協会の保証付きの融資
というように融資と言っても様々な手法が存在します。
創業融資ならこの2つ
では、創業期に使うべき融資の方法とは何でしょうか?
前述した5つから選ぶと以下の2つになります。
1、日本政策金融公庫の融資
2、信用保証協会の保証付き融資
この2つです。
他の手法がおすすめできない理由
他はなぜ使えないのか、理由を挙げていきます。
民間金融機関のプロパー融資
プロパー融資とは信用保証協会を付けずに銀行が融資をするものです。
保証協会の保証がないので、返済不能になった分を保証協会から補填されません。
そのため、銀行にとっては信用保証付きの融資よりも回収不能リスクが高くなります。
したがって、まだ実績がない創業者に対してはリスクが高すぎるので、金融機関は対応できません。
ノンバンク
金利が高すぎるため、長期の借入れとなることが多い創業融資には向きません。
(返済に加えて金利負担が資金繰りを圧迫する恐れがあります)
ただし、1ヵ月や2ヵ月後に確実に全額返済できる見込みがあるような場合は
使い方としてありだと思います。
あくまでもワンポイントリリーフとしての使い方です。
家族や親族
今までの人間関係や今後の関係にも左右されます。
銀行などは一定の回収不能は織り込み済みで貸していますが、
一般の人は必ず返してくれるものと考えている方も多いです。
そのため、お金を返すことができなかった場合、
その後の親族関係が悪化することが考えられます。
以上のような理由で上記の方法はおすすめできません。
次項からは、創業期に使いたい2種類の融資手法を解説していきたいと思います。
日本政策金融公庫の創業融資
まずは、「日本政策金融公庫」の創業融資です。
日本政策金融公庫とは政府系の金融機関で、日本で一番創業融資の実績がある金融機関です。
創業者向けの融資制度もいくつか用意されており、長期間、低金利での融資を行っています。
用意されている創業融資制度
日本政策金融公庫には以下のような創業者向けの融資制度があります。
新創業融資制度
総事業資金の1/10以上の自己資金を持っていることが申込み条件となっている制度です。
昔からある制度ですが、ここ数年で融資限度額や申込み条件の緩和など、制度の拡充が行われてきました。
女性・若者/シニア起業家支援資金
女性と35歳以下の男性、55歳以上の男性が利用できます。
基準金利よりも利率が少し低くなります。
新規開業資金
規定されている条件をみたすと利率が少し低くなります。
たとえば、都内の企業に勤めていた方が千葉県で創業する場合、特別利率が適用されます。
また、自治体の創業スクールを修了した方も、利息が安くなります。
その他にもさまざまな条件が規定されているので、条件に合う方は利率が抑えられます。
ソーシャルビジネス支援資金
介護や保育といったソーシャルビジネスを創業する場合に使うことができます。
利率が低くなるため、ソーシャルビジネスを始める方にはおすすめの制度になります。
以上のような創業融資制度が用意されています。
当事務所でお手伝いをさせていただいた案件も日本政策金融公庫を使うことが多く、
難しめの内容でも融資をしていただくケースがあります。
比較的柔軟に対応してくれるため、創業期の融資といえば一番初めに選択肢にあがるところです。
信用保証協会の保証付き融資
2つ目は「信用保証協会の保証付き融資」です。
信用保証とは
各都道府県にある信用保証協会という公的機関が融資を受ける人の債務を保証をします。
信用保証が付くことで銀行などの民間金融機関から融資を受けやすくしています。
信用保証を受けると、金融機関の回収不能リスクが軽減するので融資がしやすくなるわけです。
お金を出すのは民間の金融機関
ここでご注意いただきたいのですが、
信用保証協会は日本政策金融公庫のように直接お金を貸すことはしていません。
あくまでも、保証業務を行っている機関です。
実際にお金をだすのは銀行や信金といった民間の金融機関になります。
そのため、融資の申込みは銀行や信金に対して行います。
申込みを受けた銀行は店内稟議を通すと、その案件を保証協会に持ち込みます。
そして、保証協会が審査を行いOKがでると、銀行は融資をします。
逆に、保証協会がNGを出してしまうと融資はされません。
銀行が融資を実行するかどうかは保証協会しだい、というのが創業融資の現状です。
信用保証料を払う
この信用保証付きの融資も公的融資のため、長期間、低金利で借りることができます。
ひとつ、信用保証協会を使う場合の特徴として、信用保証料というものを支払います。
これは日本政策金融公庫にはありませんでした。
市区町村の制度融資の特徴
信用保証付きの融資は公庫のように全国共通の制度ではないため、
各都道府県や市区町村で融資の条件が違います。
市区町村の融資制度の特徴として
信用保証料を補助してくれたり、支払った利子を補助してくれる自治体もあります。
ただし、多くの場合融資までの期間が長くなりがちです。
さいごに
創業期の融資は基本的に「日本政策金融公庫」と「信用保証協会の保証付き融資」を使うのがおすすめです。
日本政策金融公庫は創業融資制度がいくつも用意されており、
申込みから入金まで1ヶ月程度と、比較的早めになっています。
保証協会を使うと、民間の金融機関とのお付き合いが始まるため、
自社のメインバンクを作ることにもつながります。
融資実行後は、担当の銀行員と実績報告などして、関係の構築をしていくとよいでしょう。
その他、公庫も保証協会も別の機関ですが、審査方法などは基本的に同じと考えていただいて大丈夫です。
創業期は日本政策金融公庫や信用保証協会を利用して資金繰りを回していきたいです。