開業するには設備が必要なことが多いです。
その設備を買うために創業融資を受けることもあります。
では、設備を購入するための融資の審査では請求書が必要なのでしょうか。
この話題について書きました。
少しでもお役に立つ内容であれば幸いです。
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- この記事は以下の内容で構成しています。
- 設備資金の融資には見積書は必要
- 見積書を事業計画に反映させる
- 設備にお金をかけすぎない
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設備資金の融資には見積書は必要
開業時には業務に必要な機材の購入や、店舗の内装工事費などの設備資金が必要なことがあります。
この設備資金には数百万単位の金額がかかることが多いです。
そのため、銀行などから融資を受けてこれらの購入資金にあてます。
では、融資を受ける時には購入する設備の請求書がないといけないのでしょうか。
実務上はどうなっているのかというと、請求書や契約書などが必ず必要というわけではありません。
ただ、見積書やカタログが必要になります。
これらの書類を金融機関に提出します。
特に金額の大きい機械や内装工事であれば見積りはあった方が良いです。
店舗取得にかかる資金
設備資金のうち高額になるものとして店舗の取得資金があります。
敷金や礼金、保証金などです。
物件によって変わりますが、これだけで100万円以上かかることはよくあります。
高額になるので見積書をもらっておくとよいでしょう。
内外装工事費
店舗を開く際に内外装の工事も必要になります。
とくに居抜き物件とスケルトンでは費用も全然違います。
スケルトン物件の場合、前の店舗からあるものが使えずにゼロから作り上げるため、工事費用がかなり高額になります。
高額で工事業者ごとに金額も変わるため見積書をもらい提出しましょう。
店舗を決める際の注意点
本題から外れますが、店舗系の事業をする場合、注意しないと融資自体がやり直しになることがあります。
(運転、設備資金両方とも)
例えば以下のようなケースです。
ある物件を賃貸して飲食店をはじめます。
物件の契約は融資が決まってから賃貸契約を結ぶ予定です。
事業計画書を作り融資を申し込んだところ、無事に融資が決まりました。
そこで、いざ物件の契約をしようと不動産屋に連絡をしたところ・・・
不動産屋「あの物件、他の方との契約が決まってしまいました」
というように、他人に物件が流れてしまうことがあります。
せっかく融資が決まったのに予定物件の契約ができなくなってしまうことがあるのです。
このような場合は基本的に決定していた融資は無かったことになり、他の物件を探してから審査のやり直しになるのが普通です。
なぜこのようなことになるかというと、店舗系のビジネス、特に飲食店などは開店する場所によって家賃はもちろん、集客、売上げ状況などに影響があります。
なので場所が変われば収益状況も変わります。
当初予定していたA店舗の計画は、次に見つけたB店舗では通用しなくなるわけです。
ということで、B店舗の計画で再度審査のやり直しとなるのです。
その他の設備購入資金
上記のような物件以外にも機材や備品、車両などさまざまなものを購入します。
このような場合、数千円や数万円単位では細かい見積書などは必要ありませんが、数十万円を超えるものになるとあった方が良いです。
カタログなどで金額が決まっているものであれば、見積書ではなくカタログで代用できることもあります。
カタログ等も使えるとはいえ、高額になる場合は見積書があったほうがよいでしょう。
見積書を事業計画に反映させる
見積書をもらったらその金額を創業計画書にいれて計算します。
とくに損益計画と資金計画書、資金繰り表です。
たとえば以下のような資金で事業を始めるとします。
・自己資金 400万円
・融資額 800万円
・礼金・敷金等(見積書から) 130万円
・内装工事(見積書から) 470万円
・諸経費 500万円
・予定外の支出に備えた資金 100万円
損益計画書
損益計画書に上記のうち設備資金にあたるものを入れます。
上記であれば内装工事費用です。これは減価償却します。
10年で470万円を償却すると1年あたり47万円の費用になります。
敷金・礼金等は損益計画ではなく資金繰り表へ。
資金計画書
資金の使い道と調達額を左右でバランスさせます。
必要な資金 | 金額 | 調達方法 | 金額 |
礼金・敷金等 | 130万円 | 自己資金 | 400万円 |
内装工事 | 470万円 | 融資額 | 800万円 |
諸経費 | 500万円 | ||
予定外の支出に備えた資金 | 100万円 | ||
合計 | 1,200万円 | 合計 | 1,200万円 |
資金繰り表
資金繰り表には現金の出入りを入力します。
たとえば、5月に保証金等の物件契約料と内装工事費用を支払うのであればその月に入力します。
(単純化するために設備資金以外の諸経費や返済は除いています)
4月 | 5月 | |
月初繰越残高 | 400 | 1,200 |
売上入金 | ||
諸経費支払い | ||
保証金・礼金・敷金等 | 130 | |
内装工事 | 470 | |
借入れ | 800 | |
返済 | ||
月末残高 | 1,200 | 600 |
設備にお金をかけすぎない
開業時にありがちなのが設備にお金をかけすぎてしまうということです。
これも気をつけるとよいでしょう。
融資を受けて設備を購入する場合、高価なものを選んで融資を申し込むと、それだけ融資金額が増えるので毎月の返済額や利息の金額も増えます。
さらに、購入した分の支払いをしてしまえば手元に現金が残りません。
つまり、資金繰りを圧迫してしまう恐れがでてきます。
それを避けるためには設備にかける費用を減らすことです。
業務に支障がない中古の機械を使うなど、できるだけ設備資金を減らしていく対策をすると良いと思います。
設備資金を減らした分、多めに運転資金の融資を受ける。
手持ちの現金を厚くして資金繰りに余裕を持たせた状態で事業を始められるとよいでしょう。
さいごに
この記事では以下の内容について書いてきました。
・設備資金の融資では請求書は必要ないが見積書を提出する必要がある。とくに物件や工事費用など高額なものには必須。
・店舗系のビジネスは他人に先に物件の契約をされると再審査になるので注意。
・見積書の金額を事業計画に反映させる。
・設備資金よりも運転資金を潤沢に持っておくことが大切。