創業融資に代表者の借入れは影響するのでしょうか?
こんな質問をいただくことがあります。
融資審査では借入れ状況がどのように評価されるのでしょうか。
まとめてみました。
この記事では以下の内容について書いています。
・創業融資に影響する借入れ、しない借入れ
・借入れ状況を正直に書くべきか?
・借入れ金額以外の問題
・借入れがある時はこうする
創業融資に影響する借入れ、しない借入れ
そもそも、代表者の借入れにも創業融資に「影響がある借入れ」と、「影響が少ない借入れ」があります。
影響が少ない借入れ
創業融資にあまり影響がない借入れとしては
・住宅ローン
・車のローン
が代表的です。
これらは購入するにも高額なため、そもそもローンを組むことが普通です。
このための借金があってもなんの不思議もありません。
住宅や車をキャッシュで買える人の方が少ないと思われます。
実際、私がお手伝いをさせていただいたお客様にも、住宅ローンや車のローンを返済中の方がよくいらっしゃいます。
その方たちは無事に創業融資を受けることができています。
悪影響を及ぼす借入れ
逆に、創業融資に影響がある借入れとしては
たとえば、
・消費者金融からの借入れ
・カードローン
などです。
少額ならそんなに影響はないかもしれませんが、
利息も高いため、多額に残債があるようだと、開業後の資金繰りを圧迫する恐れがあります。
このような借入れをしているとマイナス評価をされます。
借りている金額によっては、この借入れが原因で審査に落ちてしまいます。
代表者の借入れとひと口に言ってもどのような種類の借入れなのか、というのが重要です。
借入れ状況を正直に書くべきか?
創業計画書には借入れの状況を記入する欄があります。
この欄に借入れ状況を正直に書くべきなのでしょうか。
それとも、隠しても問題ないのでしょうか。
個人信用情報を見られている
日本政策金融公庫では創業融資の際、基本的に個人信用情報を確認しています。
融資の申込みを受けると、「CIC」という個人信用情報機関に申込み人の情報を照会しているのです。
これはほぼ必ず行っています。
そのため、個人の借入れ状況はわかるようになっています。
つまり、借入れ状況を隠しても無駄なんです。
CICでは、過去5年以内の情報がすべてわかるので、隠していたりすると「なぜ隠していたのか?」と不審がられてしまいます。
このように一部でもウソをついているようだと、「他にもウソをついているのではないか」
というように何の問題もないところまで怪しまれてしまいます。
どうせ隠してもばれてしまうのであれば、最初から開示した方が良いでしょう。
通帳からわかるケースも
信用情報機関の他にも、通帳から借入れが分かるケースもあります。
創業融資では通帳を必ず確認するので、このようなケースで隠し通すことはおそらく無理でしょう。
信用保証協会の場合
日本政策金融公庫ではなく、信用保証協会の保証付きの融資を申し込むときはどうでしょう。
信用保証協会は個人信用情報を確認していないことがあります。
ただし、保証協会が確認しなくても、実際にお金を出す金融機関がチェックしているケースもあります。
このような場合はケースバイケースになります。
借入れ金額以外の問題
残債以外のことが審査に悪影響を及ぼすことがあります。
CICにアクセスすると現在の借入れ以外に、過去の返済履歴も分かります。
もしも、過去5年以内に何らかの理由で延滞や滞納をしていた場合、その事実もわかってしまいます。
過去の延滞は悪影響
たとえば、現在は完済していて、返済日の支払いに遅れることは一度もなかった。というのであれば何も問題ありません。
逆に、現在は完済しているけども、返済期間中に何度も遅れて支払っていた。というような事実があると、今現在は無借金でも審査に悪影響があります。
なぜなら、日本政策金融公庫は各種の支払いが期日どおりに行われているかも重視しているからです。
また、融資をしても「本当に返済されるのだろうか」と疑われてしまいます。
借入れがある時はこうする
日本政策金融公庫では個人の借入れ状況を確認すると書きました。
では、借入れがある時はどう対処すればよいのでしょうか。
たとえば、住宅ローンがあるときは
資金繰り表に毎月の住宅ローン返済の欄を作ります。
そして、売上げから仕入れ代や諸経費の支払いを差し引いても、住宅ローンと事業融資の返済が可能です。
というような計画を作成します。
消費者金融やカードローンの場合も同じです。
ただし、このケースは資金繰り表を作っても、審査上厳しくなることに間違いはありません(金額にもよりますが)
全額返済できるのであれば返してしまいたいところです。
まとめ
日本政策金融公庫では、ほぼ確実に個人信用情報を確認しています。
なので、借入れ状況を隠すことはおそらく不可能でしょう。
借入れ状況を開示したうえで、「このような計画で営業する予定なので返済できます」というような説明をする必要があります。
ただし、住宅ローンや消費者金融といった、借入れの性質で融資審査に与える影響がまったく違います。
注意をしましょう。